いつも通りの最後のデート

 いつも以上に服装に気を使うわけでもなく、コンビニに行くような服装で僕は家を出た。スウェットにサンダルを履き、手にタバコとライターを持ち、スウェットのポケットには財布を差し込んで。


「お、待った?」

「待ってないけど何でそんな格好なの?」


 彼女はいつも以上に綺麗な格好をしている。そりゃあそうだろう。明日の昼には僕は日本を発つ。10年は離れ離れになるだろう。だから最後の思い出は綺麗にと思ったのかもしれない。


「最後だからこそいつも通りだよ。ゲーセン行こう」


 不満そうな顔をしている彼女の手を引き、ゲームセンターでUFOキャッチャーをし、四〇〇〇円を溶かして怒り気味に喫茶店へ向かい、タバコを吸いながらコーヒーを飲んだ。

 あっという間に二時間が経過している。


「じゃ、帰るか」

「え? 最後なのに何でそんなあっさりなの?」

「疲れちゃったんだよ。帰ろ帰ろ。じゃな」


 と言い残し、僕は彼女に背を向けタバコに火をつけた。僕のことを忘れてくれよ。嫌いになってくれ。頼む。一〇年は長いから

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