明日から使える!五分で読める怖い話

紅井幻

家にいる

 学校が終わって帰宅した。

 普段は両親は共働きで、家に鍵がかかっているのだが、その日は鍵が開いていた。

「母さん?」

 玄関から問いかける。

「はーい」

 台所の方から、母親の声が聞こえた。

「今日は帰るの早かったんだね」

 返事はない。

 不審に思い、台所の方まで行ってみる。

「母さん?」

 台所には誰もいなかった。

「はーい」

 二階の方から声がした。勘違いだったのか。

 二階へ上がる。

「母さん、どこにいるの?」

「はーい」

 今度は風呂場からだ。風呂場を目指す。

 風呂場に母親はいなかった。

「ちょっと……母さん?」

「はーい」

 背後で低い女の声がした。

 まずい。母の声じゃない。

 後ろを振り向けない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る