趣味って言いづらい社会
金木犀もくもく
滅びの呪文
「趣味はなんなの?」
この一言が苦手だ。この一言にしばしば殺されそうになる。
大学生になり、初めましての人と関わる事が格段に増えた。学期ごとに変わる授業、サークルやバイトの先輩と後輩。就活(笑)。
人との付き合いが薄く引き伸ばされた気がする。もっと一つ一つ大事にしていた他人との繋がりが、繋がりの数が増える程に、棒でコロコロされたり、手先でクルクルされたり、薄く大きくされていくピザのような感覚。
だがそれでもその薄い繋がり一つ一つの始まりにはどうしても初対面の会話という、困難度、面倒度ともに★5つのクエストが伴う。
その状況下で5回に6回登場するのが
「趣味はなんなの?」
という滅びの呪文だ。
趣味となるとハードルがグッと上がるような気がする。他人よりそのものを好きでなきゃいけなくて、他人よりそのものに詳しくなきゃいけなくて、他人よりそのものに情熱を注いでいなくては、趣味として語ってはいけないような感覚。
好きってだけで、楽しいってだけで、面白いってだけで、趣味って位置づけたら最期。他人にはニワカだとか思われてたりしてとか思っちゃったり思う思う恥ずかしい。@就活のグループ面接。
いつから趣味って他人の興味をひくものでなければいけなくなったのか。いつから他人より秀でたものでなければいけなくなったのか。
自分の語るその趣味ってもの。趣も味わいも、消えて溶けて燃えて破れて綺麗さっぱり消失しちゃったナ。
趣味って言いづらい社会 金木犀もくもく @gaku4914
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