荒野の剣士と都の魔女

水月火陽

『』







ーーーーー鼓動ガ


            聞コエルーーーーー







 ドクン……ッ、ドクン……ッ、と地鳴りの様な心臓音が部屋に響き渡る。


 その音に呼応するかの様に稲光る雷。暗雲からの唯一の光源であるそれは周囲を照らす度にを見上げる3人の男女を写している。


 彼らの身の丈を遥かに超えるそれの眼は開かれず、静かに心音を響かせるばかり。



 やがて、緊張が張り巡らされたその場に変化が訪れる。静かに、ゆっくりと心音が鳴り止んでいく。そして全てが静まった時、暗雲の隙間から光が漏れ次第に蒼天を生み出し始めた。


 こうして彼らはかの魔王を封印し、世界に安寧を齎した。だが喜ぶなかれ。魔王は未だ存命。この伝承が忘れ去られれば再び世界は暗雲に囚われるだろう。忘れる事なかれ。そして、願わくば叶わなかったかの魔王の討伐を。



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