第15話 夢心地
先輩との浜辺での会話の後、私たちは自室のベッドへと戻った。
もちろん二人で入って向かい合わせになっている。
「ふふなんだが前にもこんな感じのことがありましたよね、お嬢様」
「そうですね。その時は私が大泣きしてた時ですけど、情けないなぁ」
「悲観はだめですよ。昔のお嬢様はそんなにネガティブな方ではありませんでした」
「小さい頃だって暗い気持ちになることはありましたよ。暗いところが苦手でしたから」
他愛ない話を交えながら、私達は微笑み合う。ただそれだけで満たされる。あの告白は我ながらすっごくこっ恥ずかしいものではあるが、それでもそれは自分の本音なのだ。
「先輩、キスしてもいいですか?」
「はい、お嬢様❤」
話している内に、自然と手を相手の背中へと絡めていく。そして体を近づけるのだ。
(温かい……)
とっても温かい。それは体温だけじゃなくて、何というのだろうか、ちょっと臭くなるけど心の温かさというものなのだろう。
「先輩、今だけでいいんで私のことはお嬢様じゃなくて『咲』って呼んでください」
「お、お嬢様!? それは」
「私も今から先輩のことは華蓮って呼びます。敬語もなしで。だからおねがいします」
「はい……」
別に今のままの話し方でもいいんだけど、お互いに親しみやすい話し方のほうがなんだがより恋人っぽい気がするから。
「好きだよ、華蓮」
「う、うん咲……」
かぁと先輩の顔が赤くなる。そういえば先輩は私の名前を言ったこと無かった気がする。やっぱり『お嬢様』ってつけないと恥かしいのかな。
「うぅん❤」
「ううんぅぅ❤」
キスを交わす。深く、甘く、優しく。何度もやってきたことだけどやっぱりいいな。すごく幸せが溢れてる。先輩が愛おしいと改めて思える。
「はぁあ❤」
「うあぁはぁ❤」
お互いの口から糸が引いて、切れる。とても熱い。先輩の瞳も潤んでいるのがわかるし、自分もそうだ。そしていつの間にか、私と先輩はシンクロするようにお互いの両手を握り合う。
「かわいい……」
「い、言わないでくだ、……言わないで」
先輩のほうがまだ慣れてないらしい。その困った表情も愛らしく、本当にかわいいんだ。
「華蓮…」
「あぅ❤」
少し首筋を軽く口づけする。すると先輩が少し息を漏らす。
「か、華蓮って敏感なんだね。そういう私も先輩のせい、いや華蓮のせいで火照ってきちゃうけど」
「お互い様のよう……ね」
私も癖で先輩って言っちゃうな。いつもの慣習は抜けないものである。軽く笑い合ってしまう。でも見つめ合ってるとやっぱり求めてしまう。
「んぅぅうん❤❤」
「くちゅ、うはぁ❤❤」
ずっと先輩と、ううん華蓮と繋がりたい。もっともっと。忘れてしまった昔の記憶。昔の自分には出来ないことをする。過去の自分に勝ちたいという気持ちもあるけど、今はただ恋人になった人と繋がっていたい。
とろけるように繋がっていたいのである。
「ちょっと舐めちゃうね」
「じゃあわたしも」
口づけの後は、お互いの体を手でなぞりながら、そして舌で舐め取る。
「ううぁあぁ❤ 華蓮、好き」
「うんううぁ❤ 私も、咲が好き」
再び口づけに戻りながらも、今度は下半身に触れたり、胸を触ったり、秘部をすり合わせたり、互いの体を確かめ合う。本当に嬉しい、気持ちがいい、心地が良い、何かが溢れてくる。
二人で熱い吐息を吐いて、何度も何度も名前を呼び合い、体をねっとりと重ね合わせる。今までにないくらい先輩と深く深く交わった気がする。
そしてどこのタイミングかはわからないが、いつも間にか私達は、夢の中へと入っていった。
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