第50話

「それではRAGGA CAT、ステージへ!!!」





ステージ裏で荒れた息を整えていると、RATさんの声が聞こえた。


私は耳を疑った。


そんな予定聞いてもなかったし、受け取ったタイムテーブルにもそんな事は書いていなかった。



私の聞き間違いかと思って他の出演者の顔を見た。




「いってきなよめぐちゃん、言いたい事言ってきちゃいなよ。」




いつもの様にニコニコしながらそう言ったのはRINだった。





他のみんなも





「ほら、ほら…」






って、半ば押し出される様にステージに戻ったよ





そしたら今まで聞いた事ない位の歓声が起こった





私は促されるままRATさんの所へ行った




RATさんは私にマイクを渡すと耳元でこう呟いた。





「責任は俺が全部取ってやるから…言いたい事を言うんだ。奴が見てるぞ。」





笑いながら去っていくRATさんの背中を目で追った後にTOYを見ると、TOYは無表情で私を見ていた。








頭が真っ白で何も思い浮かばない。









でも、感情が一人走りして口が勝手に動き出した。







「あの…えっと…ありがとうございました。」




再度刑務官に怒られて静まり返っていた講堂に再び激しい拍手の嵐が鳴り響いた。





「あの…私はこのダンスを始めて、レゲエに出会えて…大切な仲間とも沢山出会えました。


でも…その中でも一番このダンスを見せたい人がいて…その人には残念ながらなかなかダンスを見て貰えませんでした…」




少しの間が空き、再び会場は静まり返った。



「…でも…今日やっと…ダンスを…見せる事が…でき…ま…」








私はもうTOYだけを見て喋っていたから、私が泣きそうになった時にTOYの口が



泣くな



って言ったから、ふとももを思いっきりつねった







「…で…彼も歌を歌っていて…私達もこうやって頑張っているので…早くまたみんなの前で…歌って欲しいです…
















歌って…










声が…














声が聞きたいです・・・」










…ずるいよTOY。なんで私に泣くなって言っておいてTOYが最初に泣くの?




なんでこんなに近くにいるのに触っちゃいけないの?



手、繋ぎたいよ…















TOY…

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