第20話

「申し訳ございませんが、1229番は懲罰中の為、面会をする事が出来ません。」


面会担当の刑務官に冷たくそう告げられ、メグは言葉を失った。


約束したのに…


メグはすぐさまPAPA-RATに電話をした。


「…おっ?待ってたぞ電話!TOYは元気だった…」


「会えませんでした…。TOY…懲罰中だから会えないって…」


「…きっと何か尋常じゃない事が起きたに違いない…とにかく連絡を待と…もしもし…おいっ?RAGGA CAT?…お…」


メグは電話を切った。そのまま電源を落とした。


今は何も信じられないし何も受け入れられない。何かがあったのは分かる。それでも大切な物があるってTOYは分かっているはず。TOYは私達より自分の感情を取ったんだ…。私が…私の周りの人達がどれだけあなたの事を考えて、あなたの為に駆け回って、あなたをサポートしているのかを…あなたは全然分かってない!…分かっていたら何があっても懲罰を受ける様な事は出来ない筈でしょ?…




気が付いたらメグは駅にたどり着いていた。切符を買う時、ふと料金表を見ると、実家ある懐かしい駅の名前が目に止まった。




お母さん…




メグは携帯の電源を入れ、母親の携帯に電話をした。


「…もしもし?メグっ?メグなんでしょ?」


「お母さん…」


母の声を聞いた途端、緊張の糸が切れたメグは子供の様に泣きじゃくった。そして家を出てから今日に至る経緯を全て話した。


「…それなのに…TOYは…懲罰に…い…行っちゃって…今日…会えな…かった…の…」


すすり泣き、途切れ途切れのメグの話しを母は黙って聞いていた。


「私…私もうどうしたら良いのか分からない…」


「…お母さんは言ったよね?子供じゃないんだから自分で決めなさいって。ただあなたの家はここなんだから、いつでも帰って来て良いのよ。夕飯の支度あるからもう切るわよ…」

「お母さ…」


母は電話を切ってしまった。同時にRATからメールが入ってきた。



[タイトル:RATより]


[本文:RAGGA CAT、落ち着いたか?きっとただならぬ事情があったに違いない。とにかくあいつからの連絡を待とう!取り敢えず冷静に!今のあいつにはRAGGA CATだけが頼りだ!]



家に帰り、メグは書き慣れた便箋に文を書き始めた。



TOYへ


今日あなたに会いに行きました。


会えませんでした。


嘘つき


もう連絡しないで下さい

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