第6話

部屋に戻されるなり、俺はもめ事を起こし1人部屋にされた。ムシャクシャしている時に外人が何かと色々聞いてきたので、ムカついたから胸ぐらを掴んだのだ。そしたらバビロンがどこからか5、6人湧いて出て来て俺を引っ張り出した。

簡単な取り調べを受けて、また指の指紋を取られ1人部屋にぶち込まれたんだ。


俺は暫くは熱くなっていて壁や檻をガンガンぶっ叩いて文句を言っていたが、冷静になってくるに連れ、外の事を考え始めたんだ。


…昨日メグが来た?あいつ山梨レゲエ祭行くって言ってたのに…あ、レゲエ祭…RATさんマジキレてるんだろうな…。なんて謝ろう…それにしても出たかったなぁ…ヤバかったんだろうなぁ…


メグ、あんなに楽しみにしてたのに、俺が出るって決まった時、自分の事の様に喜んでくれたっけなぁ…あの時の笑顔、マジ可愛かったなぁ…あの後俺の衣装作ってくれたり、友達一杯誘ってくれたり…やっぱもう終わりなのかな…昨日は別れを告げに来たのか?…いや、メグがそんな簡単に別れようなんて言う筈が無いよ…でも…ムショ…行ったら…もうずっと会えないんだろうし…前科者なんて彼氏に持ってたら大変だろうし…でも…別れたくないな…




…会いてぇ…会って謝りてぇ…いや、喋らなくても良いから顔が見てぇ…メグ…ごめんな…メグ…


「ぃ…おぃっ!!」


いつからそこにいたのだろう。一番最初のいじめられっこ顔の担当が部屋の前に突っ立っていた。


「弁護士さんが面会に見えてるぞ!!…それにしてもお前どうしたんだ?そんなに反省してるのか?…まぁ早く涙を拭いて外にでろ」



俺は気が付いたら顔をくしゃくしゃにして泣いていた。メグも俺なんかの為に涙を流してくれたのだろうか?






ただ一つだけ確実なのは、


『幸せにするなんてデカい事は言えないけど、大切にする。お前を悲しませる様な事だけは絶対にしない…』


と、俺の誕生日にメグに言った言葉が嘘となり、その言葉を信じて付いて来てくれたメグを傷付け、裏切ったという事だ。









後にも先にも、基本ポジティブな俺が自分をこの世から消してしまおうと思ったのはこの時だけだ。








俺はカスだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る