第4話

山梨レゲエ祭の会場にTOY MACHINEのキャンセルのアナウンスが鳴り響き、会場がどよめく中、何より一番驚いたのは彼女のメグである。メグはRAGGA CATという名前でREGGAE DANCERをやっている。一昨年JAPAN DANCEHALL QUEEN contestでベスト8に入賞し、その時に一番前でPOW POW騒いでいたのがTOY MACHINEである。

その後、幾度と無く渋谷のクラブでリンクを重ねていくうちに仲良くなり、昨年のTOYの誕生日に付き合い始めた。



メグはアナウンスを聞いた瞬間に、TOYに何かとてつもない事があった事を察した。山梨レゲエ祭への出演が決まってからと言うもの、TOYはデート中も、酷い時は夜の営み中にもその話ししかしていなかったのだ。例え40℃以上の熱を出してでも彼は来たであろう。


「あのー、RAGGA CATさんですよね…?」


不意に声を掛けられ振り向くと、まだ若い女の子三人組だった。


「DANCE HALL QUEEN contestカッコ良かったです!良かったら一緒に写真…」


「…ちょっと!」


キャピキャピ騒いでいる一番左の女の子を真ん中の子が止めた。

三人の顔が何故か急に暗く曇って見えた時、メグは初めて自分が泣いている事に気付いた。


『ごめんね…』


それを言うのがやっとだった。メグはフラフラとステージの横に設置されている楽屋へと向かった。


『すいません…PAPA RATさんはいますか?』


「えーっと…関係者の方ですかね…?」

『……TOY MACHINEの彼女です。』


「…ちょっと待っていて下さい。」


SOUNDMANだろうか、どこかのフライヤーで見たことのある男が、急に顔をしかめ奥へ走っていった。


1分も経たないうちにPAPA-RATが顔を出した。


「えっ…と…君はDANCERのRAGGA CAT…そうか、TOYと付き合ってたのか…」


『あの…TOYはどうしたんですか?何か知ってるんですか?』


微かにPAPA-RATの顔が曇ったのをメグは見逃さなかった。


『教えて下さい!TOYはどうしたんですか?わたし…』


「捕まったんだ!」


泣き喚くメグを一喝する様にRATは言った。


「…まだハッキリとは言えないが、さっき俺の下の者から連絡が来て、ほぼ間違い無いとの事だ。それで…あっ、おいっ!」








メグは会場出口へと走っていた

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