第3話
2K2/9月28日
道玄坂留置場
留置四号室
…昨夜は結局一睡も出来なかった。無理もない、入った部屋は4人部屋、しかも俺以外が全て外人[中国人2人、バングラデシュ人1人]。こんな所で異文化コミュニケーションなんか出来ねぇよ。
6時半に学生時代ぶりに聞いたチャイムが鳴って起床。白米にふりかけと味噌汁。。一口だけ食って、後は中国人にくれてやった。飯が下げられた後にいきなり部屋の鍵が開いて、担当のおっさん[皆は先生と呼ぶ]にいきなり
「運動」
と言われた。運動?良く分からないまま連れていかれると、そこには異様な光景があった。見るからにその筋の方から様々な国の外人がタバコを吸っているのだ。どうやら留置場は1日2本までタバコを吸っていいらしい。俺は、こんな状況でもタバコは上手いんだなぁ…と変な気分になっていた。
それから部屋に戻されて、週刊誌や漫画なんかをパラパラめくりながら色々と聞いてくる外人共にテキトーに相槌をうっていると間もなく…
「39番、取り調べ」
と、先生[プッ…]に声を掛けられ、昨日の取り調べ室へと連れて行かれた。
「どうだ…少しは寝れたか?」
『寝れるわけないッスよ。部屋全員外人だし、なんせ…』
気が付けばバビロンに気を許して話している自分がいた。今思えばそれが奴らの作戦だったんだけどね。
「ははは…そうか、んで結局お前は佐藤に大麻を渡して金を貰った訳だ。」
『いやぁ、だから、あいつは金を払わずに消えたんですよ!まさかパクられてるなんて想像も…』
「そうか、じゃああげた訳では無いんだな?」
『そりゃそうさ、あんな野郎にただでやるわけねーじゃん!』
「ふんふん…」
刑事は昨日と同様またPCをいじり始めた。今日の取り調べはここまでという事だ。取り調べ中はタバコが吸い放題なのでここぞとばかりに吸っていると、刑事が静かに口を開いた。
「そういや昨日お前に差し入れが入ってるぞ。」
『…えっ?』
「現金が20000円と下着、ジャージ、本、それと…写真か…持ってきたのは…〜めぐみさんって人だ。彼女か?」
急に全身が痺れ始めた。
『待てよ、持ってきたのはって、何で会っていかねーんだよ。面会とかいいんだろ?昨日留置場のおっさんに説明されたぞ!?』
自分の声が自分の声じゃないみたいだった。
「お前、今はまだ接見禁止と言って弁護士以外とは面会出来ないんだ…」
…めぐ
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