インヴィンシブル・ハート
雪那 楓
第一章「未知達との遭遇」
第1話①「月からの侵略者X 前」
何百もの音楽が詰め込まれた音楽プレイヤーを探していた。
父親と話し合い、その結果学校に許可書を提出し、勉強と部活に挟まりながら始めたアルバイト。その初任給で買った、学生という身分には高価な型の物である。
それを失くしていた。
なので学校の最寄り駅の<落とし物問い合わせ室>に来ている。今は「ちょっと探すから」と離れた職員が戻るまで、真紅色のスマートフォンに指を走らせてるのだ。
「お待たせしました」
帽子を乱さず被ったお兄さんが苦笑いしながら、頭を下げた。
「お客様が仰ったのが今日の朝七時……くらい。そこから念のため一時間前まで確認しましたが、特徴の一致する物は見付りませんでした。」
「本当にですか?」
「ええ。残念ながら……」
「本当の本当に? 探して……」
「ええ、はい」
「盗られたってこと……?」
「それはわかりませんが……」
そんな。そんな事ってあるのか。成績を落とさないくらいには頑張ったのに。
ポケットに突っ込んだ手が、汗ばんできた気がする。
「なので連絡先を書いていただいて見付かり次第、職員の方からお電話をする形になります。」
最悪な気分だけど、テーブルと顔の間に紙が滑り込んで、現実に引き戻された。
連絡先なんて書いても無駄だ。
そう思いながらスマホの電話番号を書いて、駅を後にした。
今夜の地下鉄は珍しく利用者が少なくて静かだった。
会社勤めの大人の人が何人かいるけど、私と同年代くらいの人は全くいない。駅のホームの奥に行けば行くほど、人気がなくて実に快適だ。
「あ……」
いやいた。
私の隣にサラリーマンが一人、疲れた猫背でスマホを睨んでいる。だからと言って何か気になる点がある訳ではないから、どうでもいいけど。
『間もなく一番ホームに列車が参ります……』
時刻表は確認しなかったけど、来たばかりですぐに電車が来てしまう。これではゲームのクエスト周回もガチャを回す事もできない。
乗ってからでいいか。
トンネルの奥が明るくなり、アルミの塊が目の前に停車する。ドアが開く時の音が気持ちいい。
車内は珍しくガラガラだった。
「あれ…………?」
何かがおかしかった。
今いるのは後部の運転席の手前で、そこから先頭車両の方向を見ても他の乗客が一切いない。
それだけならたまたまで運が良いだけの話なのに、さっきまでいたはずのサラリーマンの姿も見当たらない。
『ドアが閉まります』
「どこに……行った?」
思わず振り向いてドアに張り付いても見えない。優先席付近からでも足の先っぽさえ視界に収められない。柱に隠れている訳でもなさそうで、電車が動き始めてこの異常を肌で感じる。
気持ち悪い。今は他に人がいないと安心できそうにない。
「……開かない!」
隣の車両に移動したいのに、力強く取ってを掴んで引いてもドアが妙に重い。
誰かに抑えつけられているかのように。
否、何かがドアを開けられないよう固定していた。
通路の壁とドアの間に泥みたいな赤い何かがへばり付いていた。手で触りたくないビジュアルだ。
そしてそれだけじゃなく、異常がもう一つ増えた。
いなかったはずのサラリーマンが、運転席の前で倒れていた。
「! だっ、大丈夫ですか!」
見ず知らずの人なのに駆け寄ってしまう。
それもそうだ。いきなり人が病気か怪我で大事かもしれないというのに放っておけない。
しゃがんで、体を揺すろうとしたその瞬間だった。
その男は風圧で髪を舞わせるくらいの速さでその上体を起こして、私の両肩を痛みで痺れるくらい強く掴んできた。
「いった……! 何をするんですか!」
男が頬を膨らませている。
明らかに<あの>予備動作。
吐き出される……と思うと同時に何とか横に少しそれて<あれ>を回避。
反射的に顔面に蹴りを入れた。両手は使えなかったので仕方ない。
ダンベルでも落としたみたいな音と共に男は再び倒れ伏した。
「…………なんだ、お前……何なんだよ!」
「いっっったいなァ……」
「!」
立って見下ろすと男は横になったままケタケタと笑った。
心底気持ち悪くて逃げ出したいのに電車は走行中で次の駅に到着しそうにない。
救いがあるとすれば足元に<あれ>が撒き散らされてない事だが、代わりにドアのガラス一面にびっしりと付着していた。粘度も色もパッと見ではさっき見た物と同じだ。
おかげで物体の正体はわかったものの、そのせいで助けを呼ぶのも難しくなった。
ただの痴漢だったらまだマシだ。
「最悪だ……」
「うぅ……」
今度は呻き声だ。痰でも詰まらせてるのか声がブツブツしている。
「今日ハ初メテ外ニ出レテサァ……人間モ初メテダッタンダ」
「…………?」
「ナノニ全然美味シクネェ。外モ中モ腐ッテテヨォ~、隕石ノ方がマダ味ガスルゼ……」
何を言ってるんだこいつは……隕石なんて食い物じゃないだろ。
「ってそうじゃない!」
今は目の前のこいつから電車が止まるまでどうやって逃げ続けるかが大事だ。だからと言ってドアをこじ開けて時速三桁の世界に身を投げ出すのも躊躇する。ていうか人力で開けられるのか?
……とやかく言ってられてない。まごついてたらコイツに食われてしまうかもしれないんだ。痴漢だって御免だ、
ボロボロになってもいい。
ドアの隙間に指を突っ込むが開けるどころか差し込めやしない。
「ドコへ…………行く……」
その間にも男は立ち上がって迫ろうとしていた。
いや、立とうとなんてしていない。
倒れたまま立っていた。もしくは浮遊か?
もはやどう言い表せばいいのかわからないほどに混乱してきた。
「ト……言ウンダ!」
胴体から脚が生えていた。人間とは違うが脚としか言いようがない。
一本、二本……………………八本。男と合わせて十本。
訳がわからない。どうやったら人間の体がそんな変態を遂げるんだ。
人間なんかじゃない、化物だ。
その姿はまるで蜘蛛だ。
ソイツは口からまた<アレ>を吐き、全身に浴びた。
もう男がどんな顔でどんなスーツを着てたかもわからない。
「食ワセロ!」
前足が眼前に迫った。
咄嗟にしゃがんだら、後から破砕音が耳をつんざいた。
何が起きたのか見なくてもわかる。と言うより見たくない。そして音の正体はかかとまで転がってきていた。
「…………」
やはり手すりだった。
状況がこれで戦えと言わんばかりに何度も私の脚を叩いている。アイツからは目を離さないで拾い上げても手汗で滑ってうまく握れない。構えても震えて殴れそうにないだろう。
「どっ……どうしろって言うんだ!」
「安心シロ。ソレヲ……下ロシテ、ワタシに食ワレロ!」
二本の前足が振り上げられる。
私の人生は……。
もっと早く帰っていればこんな事にはならなかった?
そしてら他の誰かが犠牲になっていたのかもしれないのに。
でも戦えないんじゃ意味がない。
私の人生は……こんな所で終わってしまう?
「それは嫌だ……。死にたくない……」
「コノ世ハ弱肉強食。弱イ者ハ食ワレテコソ価値ガ…………」
「……………………?」
終わらない、食われない。どうしたんだろう。
見上げるとソイツは足を下ろしていて、位置のわからない目で私の後方を睨みつけていた。振り向いてもさっきのドアがあるだけだ。
「何者ダ…………オ前!」
ソイツがそう吠えた瞬間、ドアが破裂するように粉々に弾けた。
金属製の部分はさすがにひしゃげただけだが、ガラスは全て割れて私の少し後ろまで散らばった。こんな所業はアイツと同じ怪物にしかできない。
しかし現れたのは私と同じ人間で、同じくらい若い男だった。
しかも、同じ学校の制服を着ていた。
「オ前!」
「…………」
化物が叫んでもその人は何も答えようとしない。
それどころかカードのような物を掲げながら物怖じせずこちらまで歩いてきている。
「来ないで! 危ないから!」
「ソウダ! オ前モ、ソコノ女モ、ワタシノ餌ダ……」
その人は私の前に立ち、一度こっちに振り返ってから化物にさっきのカードを向けた。
「煩い個体だ、よく吠える。だが名乗っておいてやろう」
上着を私に被せるように脱ぎ捨てる。前が見えない。
すだれのように上着をどかして見ると、シャツの袖をまくって、肘から先にロボットのような装甲を纏ってるという強烈なビジュアルが飛び込んできた。
あの化物といいこれといい本当に強烈で飲み込みにくい状況だった。
「俺は福井。どこにでもいるが、今はどこにもいない事になる男だ」
何とも言えない腕にカードを挿入した。
<WE■■■:B■■DE AC■■■■!>
電子音が鳴って剣のような武器がその輪郭に光を走らせながら生成された。福井と名乗る男はそれを右手に取り化物に向けて突き出した。
「歯向カウノカッ!」
激昂する化物。
構わずソイツへと向かう福井という男。
やはり理解しがたいが、今は生きる事だけを考えたい。終わればきっと私も助かるし、アイツが何なのか、何が起きているのか、それも全てわかる。
そう信じて、この戦いを見届けよう。
「手土産だけ置いて、月へと消えろ」
そういえば、変な噂がある。
今や世界中の人が利用している情報収集サイト『ツミッター』は様々なニュースや呟きを自由に閲覧できてしまう。かわいいとか面白いとか人の心を躍らせる一方で、殺人や事故などの事件や悪意ある投稿が醜い論争を巻き起こす事だって日常茶飯事だ。
そんな中で関東に住む人には道端の石ころになった事件がある。
それが東京某所の『スカイツリー隕石』だ。
小さいが凶悪な隕石が推定人口密度ゼロと噂されるほどに街を破壊した。スカイツリー周辺の街は廃墟と化している。今ではもういかなる交通手段でもスカイツリーを見上げに観光だなんてできないだろう。
壁のそばを歩いた事がある。
当該区域は立入禁止になっており入口の一つもない。何故なら謎の岩が壁として人を拒むからで、その高さは私よりもはるかに大きい。スカイツリーよりも大きいなんて噂もあるけど、先っぽの折れた部分は見えるので多分嘘だ。
外周にはヘリの残骸が転がってるので、その先を見たいとは思った事はない。
嘘。一度はある。でもそれっきりだ。
ネットの配信者が食い付いたこの壁も、一度気にならなくなればただの石ころだった。
そんな風花しかけた日常の裏側では一つの都市伝説がまことしやかに囁かれている。
そこから未知なる侵略者が現れる――と。
そして今が<その状況>かもしれない。
人間だと思ったらそいつは化物で、そいつと戦う者はいた。
福井とかいう男の体をもう少し観察してみた。
左腕の肘から指先までが金属製の装甲――素材はわからないが――で覆われていて、二の腕に半円状の物体が取り付けられている。さっきはあそこにカードを挿入して武器を生成していた。
履いてるパンツも革靴も私の通う学校と同じタイプでそこは普通だ。
福井は剣を床に突き刺して目線は化物に、しかし声だけは私に向けていた。
「次の駅に着くまであとどれくらいだ」
「!」
この男、もしかしたら停車までにコイツを倒して事態を収拾させる気だ。
だけど手すりもドアの破壊に留まらず床まで抉っているのに、本気か?
「あと一分…………多分」
地下だから正直わからないけど。
「十分だ」
剣を引き抜き引き摺りながら再び化物へと歩いていく。長さはそんなにないけど持ち上げてないあたり非常に重そうだが、それで反応できるのか。
「来イッ!」
化物が右前足を振り上げた。
福井は姿勢を低くした。
回避だ。
「うおおぁッ!」
「グオォォォ!」
違う、誘ったんだ。
頭上まで振られた前足を剣で斬り落としている!
続けざまにもう片方の前足にも狙いを定めた。
だがそれは読まれていて、刃は足の爪に阻まれつばぜり合いのように拮抗した。
「こいつ……」
「ナメルナァ!」
前足を体の方で振りかぶり、人間でいう裏拳の要領で福井の手の剣を殴った。
剣は弾き飛ばされ車両の窓を突き破り外へと放り出される。
次に化物はその前足を天井へと突き刺した。電灯が消えそいつの周囲が暗くなる。
「一時ハドウナルカト……思…………タガッ」
足を徐々に横へ、天井から壁へと動かす。段ボールをカッターで切り刻むのと同じように裂けていく。
「貴様!」
福井が両手で剣を振り上げその足を斬り落とそうと一気に踏み込んだ。
しかし、切断したはずの方の前足が刃を阻んだ。
「! こいつ!」
「ワタシヲタダノ蜘蛛ト侮ッテクレテハ困ル!」
「再生能力か……!」
あれじゃあ時間内に倒しきるには攻撃を止められない。
短時間でゴリ押してダメージを与え続けないと……。
「クラエ!」
化物は剣をはねのけ、左前足の先端を福井に向けた。その間も車両の破壊を止めない。
高速で突き出される爪。
よろけてた福井は何とか踏み止まって、寸での所で躱し剣で受け流す。
「くっ……おお!」
火花が散っている、ように見えた。
一歩踏み込んでスイカを叩き割るように右前足へと剣を振り下ろす。
車両の破壊を阻止する気だ。
弾かれた左の足は車両はその勢いで壁に突き刺さって抜けないから邪魔もされない。
好機。
「おおおぁぁぁぁ!」
「グゥゥオッ……!」
足は切断され回転しながら天井に刺さり、化物は怯んで床に倒れ込んだ。
福井がまたカードを一枚取り出して腕の機械に入れようとした。
危険な状況なのにあれで何をできるのか少しワクワクと胸が躍ってしまう。
いや落ち着け。死ぬかもしれない状況なんだ、こんなのは良くない。
「次は抵抗させん……」
「…………フ」
トドメを刺されそうなのにアイツは笑っている。いやどこが口かわからないけど。
さっき斬られた足が再生しないし体力は落ちている気がする。
「判断ガ……仇トナッタナ!」
「何……」
車両がガタンと大きく揺れた。
さっきまでの車両破壊は確かに阻止できていた。
しかし福井が防いだ左の前足が反対側で破壊を継続させていた……。
「攻撃ヲ防ガセタノハワザトダ! コノマヌケガ!」
再び揺れた。
数秒前までの破壊行動には意味があったらしい。
私達と化物の間には地震で見るような亀裂が入っていて、今にも真っ二つに割れそうだった。
天井から床まで切り込みを入れる事で車両を私達の間で切り離せるんだ。
ギイイと黒板を引っ掻くよりも何倍も不快な音が耳をつんざいた。
「コレデ終ワリダ! オ前ノ攻撃ハ届カン!」
化物は両足で床を激しく叩いた。その瞬間にアルミの皮一枚で繋がっていた車両がついには真っ二つに切り離された。
風が激しく私達を煽って、髪も服もバタバタと煩い。
「来レルモノナラ来テミロォ!」
「逃げられちゃう……!」
「まだ遅くはない!」
福井が腕の機械にさっきのカードを挿入して前方に掲げた。
『UNIT:WIRE AVTIVE!』
今度は聞き取れた。
その肘の先から指先までを光が走ったかと思うと金属の筒が腕を覆っていて、瞬きをすると同時に手先から何かが射出された。
あれは、
猛スピードで化物の胴体に突き刺さって、その激痛に堪えたのか床に崩れ落ちた。
福井は体を捻りアイツを強制的にこちらに引き摺り降ろさんとワイヤーを引っ張り始める。
しかし化物も前足で車両の縁にしがみつくなど意地でも抵抗するらしい。
「逃がすか……!」
だけどそれが逆に仇になって、十メートル以上は空いていた距離が徐々に縮まっていく。
凄まじいパワーだ。まるで同じ人間で同じ学生とは思えない。
もうアイツを倒そうと思えば倒せそうだ。
「お前を倒す」
「クソォッ……」
「一撃で!」
福井が腕のそれを外した。
かと思うと床に落とし足で押さえながら、次には剣でそれを貫き杭のように固定させた。
「それで引っ張れるの……?」
「問題ない」
床の機械からモーターの駆動音が聞こえてきた。誰かが引っ張らなくてもいいらしく、化物と車両はなおこちらに牽引され続けていた。
いや私が言ったのはそこじゃないけど、動いてるのならいいのか。
福井がカードを一枚また腕に挿入。
<FINISH ARTS! standby..3...2....>
その足に電撃が迸る。
何だ……? 何をやったんだ?
電車が連結するのと同じように車両と車両の距離が更に縮まる。
これは絶対に確実にアイツを倒す流れだ。
いつの日か何かで見た流れだ。
「ウッ……ウォォォォォォ!」
「抵抗するな」
<1...>
電撃がどんどん強くなって、ついには私の頬を軽く焼き切った。
痛い、だけど、これは……。
<0...Deeeeeeestrrroy!!!>
「……終わりだ」
二つの車両が一つになる。
彼は電撃を纏いながら跳び上がった。
目の前の敵に狙いを定めて。あれは跳び蹴りの構えだ。
「おぉぉぉぉぉっだぁぁぁぁ!!!」
キックを放った。
足が化物の胴体を捉える。
電撃はソイツにも伝わりやがては全身を駆け巡って帯電までし始めた。力があまりにも大きいのか、車両全体にまで及びあちこちから火花が散り始めた。
「きゃあぁぁぁぁっ!」
うずくまらないと危ない……!
電灯が点いたり消えたりを繰り返して見えにくい。何が起きている?!
「だあっ!!!」
「ぐぎゃぁぁっ……ぁっ……」
顔を上げたらその瞬間に悲鳴が聞こえた。
目の前で化物が胴体を破壊されていた。
四肢のあちこちからドロドロとした赤い液体が垂れていて、それが亀裂をボンドのように埋めている。
これで車両は元通りというわけなのか。
「連結キックだ……」
「手間取らせてくれたな……」
福井がその残骸越しに立っていた。何かを探すように床とそれを見回す。
「何が………?」
「ハズレだな。ロクなデータが得られないんじゃ徒労だ……」
「ちょっと……」
『間もなく列車が到着します』
「!」
「時間ギリギリだな」
そのアナウンスを聞いて福井はまたカードを腕に挿入した。
<ESCAPE ATIVE...5...4...>
それから早足でこっちに来て私の腕を掴むとその怪力で私を立ち上がらせた。
「待って!」
「問題ない。敵の残骸が見つかる事はない。残るのはぶっ壊れた車両だけだ」
「えっ」
それめっちゃ便利で都合がいいけどどうなってんの。
確かにそこにさっきまであったはずの残骸は煤となって消え去っているけど。
亀裂もコンクリートでも使ったみたいにくっ付いているし。
「いない事になるって……そういう?」
「お前は目撃者だ。一緒に来てもらうぞ」
「一緒に来てもらうって……」
どこに。もしかして誘拐じゃあるまい。
<0...>
電子音が終わりを告げた
視界が真っ白に光って、車輪の音も車内アナウンスも遠ざかっていく。
エスケープってテレポートの事みたいだ。
よくわからないけど数秒後には、電車にも駅にもいないのは確かだった。
私はとんでもない出来事に巻き込まれていた。
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