ユリウス・フォンテーヌの備忘録 —①
9月1日
本日は入学式の日だった。毎年入学試験で好成績者を新入生代表挨拶に選ぶのだが、今回は驚くべきことに満点を叩きだした2名の人物がいた。
1人はアラン・ゴールドリック王太子、そしてもう一人はジェシカ・リッジウェイ。
まず初めに我々生徒会は男子学生から先に挨拶をして貰うように手はずを整えた。
アラン王太子は流石王族だけあって、立派なスピーチを披露した。
次に挨拶をするのはジェシカ・リッジウェイ。
最前列に座っている女だと言う事は聞いていたのだが、幾ら名前を呼んでも出てこない。
痺れを切らした俺は彼女を見つけ、腕を引いて立ち上がらせた。
ジェシカ・リッジウェイは一瞬恨みを含んだ目で俺を見る。・・・この俺をこんな目で見た人間は初めてだ。
何か文句を言いながらもリッジウェイは壇上に上がる。さて、一体どんなスピーチを披露してくれるのやら。
その内容は衝撃的な物だった。これ程相手を引き付けるスピーチは今迄聞いたことが無い。彼女のように弁が立つ人間が生徒会に入ってくれれば、さぞかし盛り上がるに違いない・・・。俺はその時から彼女を引き入れる事しか念頭に無かった。
夜、偶然学生食堂で肉厚なステーキを持ってウロウロしている彼女を発見。
自分の隣に座るように命じると、不承不承俺の隣に座った。全く嫌がる素振りを微塵も隠さない姿は可笑しくてたまらない。
別の意味で俺は彼女の事をもっと詳しく知りたいと思うのにそう時間はかからなかった。それに彼女は博識だ。時々的を射たような発言をしてくる。さすが成績優秀者は一味違う。
食事を終えた彼女を引き留めるために、半ば強引に俺はコーヒーで引き留めた。
ブラックを好む姿はまさに男勝りのスピーチをした彼女にはお似合いだ。
・・・欲しい、何としても彼女を生徒会に引き入れたい。
話を切り出そうにも、にべもなく断る彼女。生徒会長を務めているこの俺にここまで反抗的な態度を取る人間は初めてだ。懐かない猫程手なずけたくなる。
がぜん興味が湧いてくる。決めた、必ずジェシカ・リッジウェイを生徒会のメンバーにする。何、時間はたっぷりあるのだから。
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