第52話16歳、冬

ゆうの期末テストの結果に茜は感心した。


「なかなかやるじゃん。」


「別に、ちょっといつもより頑張っただけだよ。」


ゆうは、照れ臭そうに答えた。


「だよね。」


渚が、アイスを食べながらテレビを観て言った。


「納得いかねー!渚がまた学年で一番の成績なんだよな!」


「渚ちゃんと比べなくて良いから。」


茜は、呆れた顔をして言った。


「冬にアイス食ってるバカ女に負けるなんて悔しい!」


「渚ちゃんは、バカでは無いからバカはダメよ。」


茜は、そう言って机の上で眠り始めた。


「ここにも、バカな苦学生がいるよ。」


とゆうは、呟いた。


「仕方ないよ。茜さん、バイト掛け持ちしてるんだからさ。ゆう君の相手なんかしてられないんだよ。」


「さらっと今、毒吐いたろ?」


「ゆう君、サッカーゲームやろうよ。」


「嫌だ!」


「何で?サッカー好きじゃん。なのに何でわたしに勝てないんだろうね?」


「うるせーな!じゃあ、舞と誠も呼ぼうぜ。」


「それはやだ。プライベートはゆう君と二人が良い。」


「変な奴‥。」


渚は、幼い頃からゆうを独占したい願望が強かった。


ゆうに、近づく女は渚の美貌で蹴散らすのだ。


女優として活躍していた頃はマネージャーにゆうの一日を毎日、日記に書かせていた。


ディフェンスは、強いがオフェンスが弱い渚だった。


どうも、ゆうは攻めずらく、ゴールが奪えない。


いつの間にか、ゆうも寝ていた。


渚は、ゆうに優しく毛布をかけた。



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