第16話変わり者

「ゆう君!ゆう君!夏休みどこに旅行に行く?」


渚は、机に向かって勉強をしてるゆうの背中に聞いた。


「行かねー。」


「婚前旅行だよ!真剣に考えてよ。」


「バカ野郎!期末試験なのに何故か家庭教師の来ない俺を憐れんでくれよ!」


「ゆう君、先生に何かしたんじゃないの?スケベ!」


茜は、何故かパッタリ来なくなった。


「そもそも、婚前旅行ってなんだ?高校生だぞ、俺達は!」


渚がモジモジし始めた。


「じゃあ、あのキスは何の意味?」


「え?聞こえない?」


「もう知らない!一人で悶々と勉強してなよ!赤点ばっかりで夏休み補習地獄で溶けちゃえ!」


渚は、部屋を出て行った。


「何だよ、イライラして‥。」


入れ替わりに茜が部屋に入って来た。


「先生!」


茜は、不気味に笑いながら包丁でゆうを刺した。


「ゆう君!ゆう君!」


「木村!廊下に立ってろ!」


「何だと!」


ゆうは、寝惚けていた。


寝惚けると凶暴になるのだ。


「うるせーよ!ズラ教師が!」


と数学の教師の髪の毛を引っ張りツルツルの頭を叩いた。


「みんな!木村を止めろ!」


数時間後、ゆうは、進路指導室で反省文を書いていた。


担任の、西田蟹象が呆れた顔で扉を開けて入って来た。


「木村、お前は変わり者だな。」


「すみませんでした。」


「ズラは、笑えたけどな!」


蟹象は、腹を抱えて笑った。


「まぁ、とにかく居眠りは気を付けるように!反省文書けたか?」


「はい。」


「帰って良いぞ。」


進路指導室を出て昇降口に向かった。


昇降口で、渚ではなく北澤舞がいた。


舞は、ゆうに抱きついて来た。


「何だよ!」


「お気に入り見つけた!」


舞は、ゆうの唇にキスをした。



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