夢の人

勝利だギューちゃん

第1話

≪久しぶりだね≫

≪お姉ちゃんは、だれ?≫

≪覚えてないか・・・そっか、まだ小さかったものね≫

≪会ったことあるの?≫

≪うん、君が3歳の頃にね≫

≪じゃあ、覚えてないよ≫

≪確かにそうだね≫


時々見る夢。

夢の中なのに、顔は逆光で見えない。


でも、とても優しい声だ・・・


≪近々、会いに行くからね≫

≪どうして?≫

≪忘れ物を届けに・・・≫


眼が覚める。

忘れ物を届けに来る。


これは、初めてだ。

僕は、何の忘れ物をしたのだろう・・・


思い出せない。


その日の朝、父と食事をしていた。

母はいない。

僕と父を残して、遠いところへ行ってしまった。


もう会う事はできない遠いところへ・・・


「秀一」

秀一といのは、僕の名前だ。

名前の由来は、ガ○ダム好きな父が、キャラのひとりの声優さんから取ったらしい。


偶然にも、父の名は徹だ。

まあ、それはおいておこう。


「どうしたの?父さん。まさか、再婚するとか?」

「いや、父さんは母さんを、今でも愛している」

「そうか・・・」


父は紅茶をすする。

ちなみに、僕も父も紅茶派で、コーヒーは苦手だ。

でも、コーヒー牛乳は好きだ。


「で、何?」

「今日から、ひとり女の子が来るからな」

「だれ?」

「親戚の子だ。大学受験で居候する」

「女子高生なのか?」

「いや、浪人生だ」

「そうか・・・」


なら19歳か・・・


「で、何時頃来るの?」

「そろそろだな」

「そろそろ?」


5・4・3・2・1


ピンポーン


玄関のベルが鳴った。


「お前が、お世話するんだぞ」

「何で、僕が?」

「社会勉強だ」

「まだ高校一年だよ。僕は・・・」


しかしなぜだろう。

胸騒ぎがする。

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