壊れた過去はやり直せます
雅塵
第1話 エピローグ
俺の朝は早い。何故なら起きている間に朝が訪れてしまうからだ。
つまり必然的に僕は朝早く活動していることになる。
しかし、10時になったら部屋の脇にあるベッドの上で少々仮眠を取る予定なのだが。
そう、完全なる昼夜逆転だ。この生活を始めてから 2年が経とうとしている。
布団に入り横になる。
また今日が終わり、起きる頃には新しい日に移り変わってゆくのだろう。
さらば今日、また会う日まで。
と、思っていたが、空腹に苛まれている事に今更気付いてなかなか寝付けない。
今は8時。曜日は確か水曜日だったはずなので、平日のど真ん中ということになる。
出勤ラッシュの時間帯なので駅前のコンビニには大勢のサラリーマンやOLでごった返しているだろう。
となると、あのコンビニしかないか。
コンビニとは言い難い古びた怪しげな店は、ここから駅と反対方向にしばらく歩き、人気のない雑木林の先にある。自転車で10分ほどだろうか。
あの周辺は未だ都市開発が進んでおらず、建物もほぼないといっていい。
地主が頑固な人らしく、なかなか開発に踏み切れない話は耳にしたことがある。
何回かその店で食料調達をしたが、店員はなにやら怪しげな老婆1人以外に見かけた事はなかった。
あまり気は進まないが、それ以上に人混みへ身を投じたくなかったので泣く泣く向かうことにした。
クローゼットから黒のパーカーを取り出して着用し、財布と鍵二つを持っていることを確認する。
実に、2週間ぶりの外出だった。
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