第6話 快楽主義を否定してみる試み

 快楽を追求することが目的の人たちがいます。それを快楽主義者と呼ぶとします。

 今からおれが述べるのは、人生はただ快楽を追求していればよいなどという単純なものではないという快楽主義の否定です。


 ひとつ。ヒトは、快楽の感情を選択することが多いが、快楽でない感情を選択することもある。行動の作戦を賢く構築するには、快楽でない感情を選択することが必要である。だから、よって、快楽主義は否定される。

 意思は、快不快の単純な多い少ないでは決まらないし、快不快の単純な算数で決まるほど単純ではない。


 ふたつ。ヒトの心の目的は行動を決定することであり、快楽は行動という結果を得るための途中過程にすぎない。だから、快楽を目的とするだけの生き方は、望むべき結果にたどりつけない。


 みっつ。脳の快楽中枢に電極をぶっ指して、快楽を得るだけの人生は嫌だ。


 よっつ。ヒトは、自分が何を快楽に感じるのかを理解していない無知であるため、既知の快楽を追求するだけでは、より大きな快楽を手にできない。


 以上の四つの論理によって、快楽主義は明確に否定される。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る