第2話素早く

ここはどこだ?

わからない。

世界中をまたにかけたオレでもこんな場所は見たことがない。

まずこんな巨木は話題になったことがない。

必ず話題になるか、辞典にのるとかするはずだからだ。


雨が止んできた、これで移動しやすくなった。

とりあえずまずは人里を目指そう。

道があるということはいつかなにかしらあるはずだ。


そう考えたオレは巨木のすぐ近くにある道を歩き始めた。舗装されていないのでデコボコで歩きにくい。


、、、いつまで歩けばいいんだ。

先ほど森を抜けて草原に出たが、行けども行けども平坦な道を進むだけだ。


本当にここは地球上なのか?

こんな自然豊かな未開拓地域がまだあったとは驚きだ。

なんでも作れるな、街も工場も公園も、なんなら世界一大きな遊園地すら作れるだろう。

会社に戻り次第、すぐプロジェクトを立ち上げよう!

希望と期待に膨らむアイディアを頭にするだけで疲れは飛んでいった。


カワセはバイタリティーが異常だ。

あふれるアイディアを実行するため、さらにアイディアを捻りだし、そのために手段を選ばずに実行してきた。

それゆえに成功者になれたのだ。

ただし、世の中は甘くない。

得る代わりに失うものもある。

カワセもたくさん失ってきた。

だから取り返せないのなら、失った悲しみを埋めるために、さらに何かを手に入れようとした。その繰り返しがいつか彼の心に退屈とむなしさが汚れとなりへばりついていた。


自分では気付かないがその汚れが少し取れたのか、彼の心は軽くなっていた。



ドドドドド、、、


ん?なんだ、この地響きは?

そう思っているとオオカミの群れが現れる!

なんだ!?

しかもこちらに向かっている。

何か武器は、、、ない。


ガゥッ!!

オオカミがカワセに襲いかかる。

喉や脈を噛みきられたら終わり、しかも大群のオオカミだ、囲まれつつあり逃げられない!もう終わりだ!


「野犬が」


ドガっ!!

キャイン!?


最初に飛びかかるオオカミが蹴り飛ばされる。次々飛びかかるが、それらのオオカミを全て蹴り飛ばす!

しかもとても人間技ではない速さと強さで。


「素早い判断を即実行するのがトレーダーだ、なめるな犬コロ」


いくつか逃げたがそこにいたオオカミをほぼ全て倒したカワセはふたたび歩き始めた。







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