サンプル確保
コラリスを庇おうとしてCLS患者に組み伏せられてしまったメルシュ博士だったが、さすがにリリアテレサにとってはCLS患者など物の数ではなかった。自分に噛り付いていた者を振り払い、コラリスを抱え上げて物置を改造した小屋の中に入れて隔離。これでもうCLS患者からは見えない。
CLS患者は視覚により食料となるものを見つけ出すものと推測されていた。事実、コラリスの姿が見えなくなると今度はリリアテレサに襲いかかってきたのである。
しかしこれも、リリアテレサにとっては何の驚異にもならない。むしろ適当にかじらせておいた方が楽にその場に留め置けるので、抵抗さえせずにCLS患者の好きにさせた。既に慣れたものだった。とは言え、絵的には屈強な成人男性に小学生高学年から中学生くらいの少女が襲われているという風にしか見えなかったのだが。また、メンテナンスを受ければ消えるとはいってもどうしてもボディには傷が付いてしまう。
しかもメルシュ博士に至っては少年のCLS患者と先程までリリアテレサに食らいついていた中年女性らしきCLS患者にも襲い掛かられ、身動きができない状態だった。
「あ、いい! 感じる!!」
などと、CLS患者に歯を立てられてまた身悶えながら嬌声を上げていた。彼女にしてみればこれもCLS患者の観察の一つらしいが。
それにしても、程よい大きさと形に作られた彼女の乳房はよほど美味そうに見えるのか、二人のCLS患者は揃って乳房に噛り付いていた。歯が立てられる度に柔らかそうなそれはいやらしく形を変え、先端は固くとがって存在を主張してくるかのようだった。
一方、リリアテレサは、博士からの次の指示があるまでその場で待機しているだけである。軽蔑しきった冷めた視線を向けながら。
「あ、イク…! イク…っ!!」
声を詰まらせびくびくと痙攣し、十分に堪能、いや観察したメルシュ博士はリリアテレサに命じた。
「取り敢えず拘束具を使って拘束してくれたまえ、リリアテレサくん」
その指示を耳にした瞬間、リリアテレサは自分の倍ほどもあるCLS患者の体を引きはがし、博士がCLS患者を捕獲する為に用意した拘束ベルトを手に取り、瞬く間に腕も脚も拘束し、地面へと転がした。
そしてそのまま博士に食らいついていたCLS患者も次々と拘束。こうして新たにCLS患者三人の確保に成功した。
「はっはっは、お手柄だリリアテレサくん。君は実に有能な助手だよ。リサイクルショップの店頭で投げ売り状態だった君を見つけた時に感じた天啓は正解だったな」
どういう褒め言葉なのかよく分からないが、取り敢えず褒めているらしいということは分かる博士の言葉を、リリアテレサはやはり冷めた表情で聞いていたのだった。
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