コンテニューから始める最弱勇者

翠玄の吟遊詩人

第1話始まりはいつも唐突に

異世界転移。最近ではラノベやWeb小説なんかでの設定によく使われる。正直テンプレで飽きてきた所もあるが、オタクとして憧れてしまうものもある。

目の前に広がる光景に胸の高鳴りを抑えることは出来ないのだ。


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俺の名前は寺橋廻斗(てらばしかいと)。自他ともに認める生粋のオタクだ。オタク以外には特に何も無く、毎日を憂鬱に過ごしている。今日もいつもの様に朝早くに登校して教室でラノベを読んでいる訳だが、これと言って変わったものはない。高校入学当時は異世界に転生だとか急に異能力に目覚めたりだとか生徒会が最強だとか色々な妄想を繰り返してきたが、そんなこともなく無事に一学年を終えてしまったのだ。そろそろマンネリ化してきて新たな刺激を求めているが何かをしようとする気もないのだ。


時間が進むに連れ、教室は人でいっぱいになって行く。

今日もつまらない一日が始まると思い、読んでいた本をゆっくりと閉じ窓の外を眺めようとした時、教室の床に魔法陣が現れた。


「なんだこれ?!」


クラスメイトは驚きを隠せず、全員が慌てている。だが、俺は違う。これは異世界転移の前兆だと悟ったからだ。

すると目の前が真っ白になり、目を開くとそこは………。


「ついに……ついに来たぞ!異世界っ!」


俺の憂鬱で退屈な灰色の高校生活は、ある日の突然の出来事で薔薇色に変わったのだった。

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