雨が降っている
雨が降っている。今。
風がないから、大粒の雨がそのまままっすぐにアスファルトを打ちつけている。
裏の家の庭にある石でできた置き物にその雨粒が当たって、幾度も幾度もぱたっ、ぱたっ、と少し高い音を立てる。
テレビを消して、音楽も消して、子どもたちは2階で静かにゲームをしていて、この部屋にはわたしだけで、静かに静かに雨音を聞いている。
ずっとニュースばかり見ていたから、静かな雨音が嬉しくて。
ここにいれば世界と隔絶されたような雨音の安心感と、エアコンの可動音だけに包まれる。
あ、今だけね。
子どもらが降りてきたら、ミサイル突っ込んできたみたいな爆撃くらうから。
近頃はストレスから動悸が酷くて、時々魂抜けるみたいに体がふわっと持ち上がるような感覚がある。
それもこの雨音が落ち着けてくれるだろうか。
再開された学校は登校4日で再休校が決定した。
ニュースで毎日見る数字は日ごとに倍になっていく。
すぐそこにある現実から隔離された空間は、わたしをゆったりとした気持ちにさせて、冷蔵庫に貼った学校の提出書類がわたしを現実に引き戻す。
こんな日は久しぶりにおはなしが書けそう。
ミサイルがいつ突っ込んでくるのか分からないんだけど。
それまでは、静かに静かに。
心臓の音と、エアコンの可動音と、窓の向こうの雨音を聴きながら。
静かに、静かに。
いやあのさ、「土から離れては生きられないのよ!」ってシータが言ってたじゃない。
ここはコンクリートとアスファルトに囲まれていて息が詰まる。
10年くらい前までは、すぐそこに大自然が広がってるようなとこに住んでたからさ、煮詰まったら太陽の光を浴びて、緑色の匂いのする風に包まれて、遥か遠くの山なんて見ながら、そうしておはなしをつくってたの。
ここは目の前にコンクリート。
コンクリートコンクリートコンクリート。
あとアスファルト。
裸足になったら怪我しちゃうよ。
自然のものが、雨しかないの。
だから雨に頼る。
風はわたしに天敵な喘息のもとを運んでくるからさ。
太陽は、なんか……遠い……。
そう、都会は空が遠い。
田舎はすごいよー?
夜とか大粒の星が大量に散りばめられていて、手を伸ばせば触れそうな距離にある。
ここでは星も見えないからね。
取り敢えずは珍しくひとりだから、わたしは取り敢えず、取り敢えず、えろいBLを視聴しようと思う。
こないだ隙間時間でBL漫画読んで感動して涙ぐんでたら、旦那がひょっこり現れて「なに泣いてんの」とか言うから、流石に「BL漫画読んで感動してました」とは言えず、言葉を濁しつつもうちょっとタイミングに気をつけようと心に誓ったところなのだ。
い、今よ……!
今しかないわ!!
流石にえろいBL視聴しながらにやにやしてるところを子どもらに見られるわけにはいかないわ!!
ってことで、わたしは今からワンダホーな世界へトンズラして癒やされてくるので、皆さま素敵な日曜日をお過ごしくださいませ!
じゃ!!
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