格好いい人になりたいのです

 まず最初になにから話そっかなあって思ったときに、浮かぶもの浮かぶものことごとく下品なはなしで我ながら本当にどうしようかと思ったわ。


 大丈夫、一応理性ってものは持っているので、いきなりそんなんぶっ混んだりなんてしません。

 追々ね、追々。


 そう、わたしは格好いい人になりたいのです。

 格好いいって、いろいろあると思うんです。

 大まかに言えば、見た目と中身ね。

 見た目はねぇ、もう結構諦めたんだけど、憧れは夏木マリさんとか土屋アンナさんとか、だったりします。

 若い頃はメイクや服装を真似したりしてたんだけど、今はそんなに自分に時間もカネもかけてはいられないので、取り敢えず小綺麗にしてりゃいいや、になってます。


 問題はそう、中身よ。

 格好いい人っていろいろいる。

 例えば強い人は格好いいね。

 封神演義のだっきちゃん(スマホで漢字が出ないよ……)とか憧れです。

 まああれは無理だ。真似できない、人間じゃないし。

 でもさ、強いってどういうことかな。

 トゲトゲして粋がってる人は強そうに見えるかな。

 わたしはスナック時代に鍛えられたのもあって、多少厳ついおっさんに凄まれたくらいではシラッとしてますけど、あれは良くないのよね、ちゃんと恐がっておかないと逆撫でしちゃって面倒が増える……。

 違うちがう、そういうはなしじゃなくてね、わたしは思うのです。

 トゲトゲは、中途半端にトゲトゲしてるとみっともない。

 もーっと気合い入れてトゲトゲを増やすと、最終形は一回りデカい丸になるはず。

 そう、つまりは丸が最強。

 前に観ていたアニメで言っていたのです。


「優しいってことは、強いってことだ」

 

 優しいのがつまりは最強なんだと思うんですよ。

 余裕があって、柔らかくて、あったかくて、どんなトゲトゲが刺さろうとも穴は開かないような、そう例えばスライムボールみたいな。

 そう、わたしは巨大なスライムボールになりたい。

 ……格好よくはないな。


 あとね、なにかひとつを突き詰めてがんばれる人は、格好いいよね。

 その道のプロですわ。

 努力の末の自信に溢れてる姿は堂々としていて格好いい。

 あれ欲しいんだなあ。

 裸の王様は恥ずかしいから、胸を張るに足りる実力が欲しい。

 中身が格好いい人は見ていても格好いいからね。


 ま、毎日子どもらに「喧しいんじゃごるあああああ!!!!」って怒鳴ってるわたしの姿は、みっともないことこの上ないけどな!

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