008 お布団を作ろう

「仕方ない。少し苦手なんだけど……」

 私はゆっくりと呼吸を整え、魔力を体中に巡らせていく。

 その状態で気合いを入れ、釜を持ち上げる!

「ふんっぬ!!!」

 おっと、はしたない。

 女の子としてダメな感じの声が出てしまった。

 そのまま、よたよたと流しまで運ぶと一気にひっくり返して釜を空にする。

「ふぅぅぅ~~」

 大きく息を吐いて、筋力強化を解除する。

 わずかな時間だったが、結構疲れる。

 ――いやいや、仕方ないんだよ。

 私は身体強化関係が、あんまり得意じゃないからさ。

 少し筋力を上げる程度ならここまで疲労しないのだが、さすがに数百キロを持ち上げるとなれば、かなり高度な魔力操作が必要となる。

 師匠は「護身にも便利だぞ。頑張って身につけろ」と言いながら、息をするように使ってたけどさ。一応、少し戦闘するぐらいの間は問題ないんだけど、さすがに師匠のようにはいかない。

 体格的にも慣れておかないと、色々マズいとは思っているんだけどね。

 錬金素材の下処理をするにも筋力は必要だったりするし……。

「ま、おいおいだね! とりあえずはこちらの処理をしないと」

 流しに残った布に水を掛けながら、綺麗に洗っていく。

 最初は茶色っぽかった布が、残っていた薬液を洗い流すにつれ、だんだんと綺麗な空色に変わっていく。

「うん! 良い色! 思った通り!」

 私がやったのは単純な染色、ではもちろん無い。

 私は染め物屋ではなく、錬金術師なんだから。

 これは一般的には“環境調節布”と呼ばれる、温度・湿度調節の付加を行った布なのだ。

 人にとって快適になるように調整してあるので、これで寝具を作れば心地よい眠りが約束されるのだ!

 ちなみに、色の方は趣味である。

 何の手も加えていない環境調節布って、ちょっと薄汚れたような茶色で、微妙な見た目なんだよね。

 色を変える分、コストは掛かるけど、自分が使うんだから性能だけじゃなくて見た目もこだわらないとね!

 ごしごしと薬液を流してしまったら、次は天日干しだ。

 自分の衣服を店の前に干すのはさすがに抵抗があるが、これは現状ただの布である。

 色も綺麗だし、見た目も悪くないので問題は無い。

 しっかりと絞った布を桶の上に積み上げ、店の前に移動。

 立木の間に紐を張り巡らせ、風通しが良くなるように折り返しながら干していく。

「よしっ! うん、綺麗だね!」

 涼やかな空色の布が風にはためき、とっても良い。

 今日も良い天気なので、数時間もすれば乾くだろう。

 思った以上に好みの色に染めることができた歓びに、私がウンウンと頷いていると、道の方からガラガラという荷車の音が聞こえてきた。

「なんじゃ、随分綺麗な布じゃの」

「あ、ゲベルクさん」

 振り返ると、荷車を引いたゲベルクさんが立っていた。

 その荷車にはベッドらしき物があるんだけど、なんかバラバラなような……?

「それ、ベッド、ですか?」

「ああ。ベッドができたから持ってきたぞ」

「そうなんですか? でも、なんか形が……」

「まだ組み立ててないからな。搬入しにくいだろう? どこに置けばいい?」

「あ、そうですよね! 二階にお願いします」

 でっかい部品――たぶん寝る部分の板を担いだゲベルクさんを案内して中に入る。

 そのまま二階の部屋に移動して、ベッドを置いて欲しい場所を示すと、ゲベルクさんは私が手伝う間もなく部品を運んでしまい、数分ほどでベッドを組み上げてしまった。

 試しに腰を下ろしてみると、しっかり作られていてガタつきもまったくない。

「ごく普通のベッドだから問題ないとは思うが、不備があったら連絡してくれ」

「いえいえ! 急いで作ってもらったのに、王都でも十分に通用する出来ですよ! ありがとうございます」

「ふん、急ぎでも手は抜かねぇよ。ついでにコイツはおまけだ。椅子も無しに店番もできねぇだろう?」

 そう言いながら、店舗スペースにポンポンと置いてくれたのは、二脚の椅子。背もたれも無いシンプルな物だけど、有ると無しでは大違い。

 大変ありがたいけど……。

「よろしいのですか?」

「かまいやしないわい。簡単な物だ。子供が遠慮すんな」

 さすがにこれ以上タダで貰うのは、と遠慮しようとした私に、ゲベルクさんは軽く手を振るとさっさと帰ってしまった。

 簡単な物と言いつつも、ベッド共々、丁寧な面取りとヤスリ掛けがされている。

 素材も優しい手触りの無垢の木で、明るい地肌にオイルが塗り込まれた代物。

 昨日の今日なのに、決して適当に作ったような物では無いし、素朴ながらも暖かみがある。

「う~ん、正にプロ。年季の入った職人の手仕事。私も見習わないと!」

 と、その時、私のお腹が「きゅるるる~」と抗議の音を鳴らした。

「あー、もうお昼か。朝から熱中してたから……」

 自分の工房が嬉しくて、ちょっと時間を忘れていた。

 昨日借りたお鍋もあるし、食堂に行きたいところだけど……。

「外の布は……大丈夫かなぁ?」

 昨日会った人たちは良い人たちだったけど、この家の周りは人家が少ない。

 見た目、ただの水色の布でも、その実、“環境調節布”はかなり高い代物だけに、放置するのはちょっと心配。

「うう~ん、どうしよう? 取り込んで行くべき? でも、まだ乾いてないし……」

 私がどうした物かと悩んでいると、玄関の方から声が聞こえてきた。

「サラサさ~ん、こんにちは~~」

 外に出てみると、そこに居たのは雑貨屋のロレアさん。

「あれ、どうしたの、ロレアさん」

「えっと、サラサさん、引っ越してきたばっかりだから、何かお手伝いできないかと思って」

「わ、それは助かります!」

 ちょうど良い見張り要員、来た!

 いやー、人情が身にしみるね!

 昨日初めて会ったのに手伝いに来てくれるとか、ロレアさん、いい人!

「ロレアさんはお昼、済ましました?」

「あ、そういえば、まだです。お母さんたちが帰ってきて、すぐ飛び出して来ちゃったので……」

 そう言ってちょっと恥ずかしそうにするロレアさんだけど、私にとっては好都合。

「お昼、ごちそうするから、ちょっとこれを見ててくれません?」

 そう言って干したままの布を指さすと、ロレアさんは頷いた後、ちょっと首をかしげた。

「それは構わないんですけど、これって昨日買われた布、ですか?」

「うん、そう。ちょっと染めてみたんだ。結構良い色でしょ?」

「はい! すっごく! サラサさんは染色もできるんですか?」

 眩しいくらいの笑顔で言われ、私はちょっと苦笑して応える。

「これも一応錬金術なんだけどね。とりあえず昼食を買ってくるから、ちょっと待ってて!」

 私は借りていた鍋と持ち帰り用の食器を手に、食堂へと駆け出した。


    ◇    ◇    ◇


 私が食堂からお持ち帰り用ランチを二つ買って戻ってくると、ロレアさんは律儀に玄関先に座って待っていた。

「あー、ごめんね。入ってもらえば良かったね」

「あ、いえ、大丈夫ですよ。今日は良い天気ですし」

「そう? ま、少し早いけど、お昼にしようか。天気も良いし、ここでいい?」

 そう言って、ランチを軽く持ち上げると、ロレアさんは笑って頷いてくれた。

 私は部屋から敷物を持ってくると、玄関前に敷き、昨日買ったばかりのカップに井戸から汲んできた水を注いで置く。

 カップが必要な来客なんてないかも? と思いつつも、食器を二人分買っておいた私、グッジョブ。お茶もヤカンもないから、本当にただの水でしかないけど。

「ごめんね、単なるお水で。まだ鍋すら無くて……」

「あ、いえいえ、私の所も普通はお水ですし。この辺りのお水は美味しいですから。この家、井戸があるんですよね? ウチは共同井戸だから、水汲みが面倒で」

「錬金術には水が必要だからね。この辺りはやっぱり共同井戸なんだ?」

「はい、何軒かで共有です。この村で井戸を持っているのは、宿屋さんや鍛冶屋さんの所、他数軒ほどですね」

 すぐ側に大樹海があるため水自体は豊富みたいだが、コストの関係で各家が井戸を掘れるほどの余裕は無いらしい。

 それに、井戸が涸れることがないから無理に増やす必要がないというのも、影響しているみたい。

「そっか。この辺だとあまりお茶は飲まないの?」

「そのあたりは好みとお金次第ですね。この村だと近くの森で取れるスヤと言う木の葉っぱを使ったスヤ茶がよく飲まれていますけど、それが好きじゃない人は買うことになるので」

「エルズさんとこで出してくれたのがそれかな? ロレアさんはあんまり好きじゃない?」

「いえ、私はどちらでも。ただ、母があまり好きじゃないみたいで」

「なるほどね」

 食卓に上る物は、どうしても食事を作る人の意向が反映されるよね。

 ちなみに、私は白湯が基本である。

 王都でお茶は買う物だったし、お値段の方も嗜好品だけあって安くはなかった。

 ただ、師匠のお店では出してくれたので、良いお茶が美味しいのは知っている。

 なので、安物のお茶はあまり飲む気がしない。どうしても美味しいお茶と比較してしまうから。

 でも、全く別のお茶なら飲んでみるのも良いかな? それはそれで楽しめそうだし。

 スヤ茶? というのなら、手軽に飲めそうだし、何よりタダというのが良い。

 余裕ができれば、この辺で取れる物で新しいお茶を作るのも面白いかもしれない。

「それにしても、この布、綺麗ですね~。この辺りではこんなに鮮やかな布は滅多に見かけませんよ。ウチも高いから仕入れないし」

「そうだね、普通の染色だと、鮮やかな色に染めるのは難しいからねぇ。錬金術師は普通、染色は仕事にしないし。……そうだ! この後、私はお布団を作るんだけど、手伝ってくれない? そうすればロレアさんにもこの布、分けてあげるよ? 結構たくさん染めちゃったし」

 せっかくロレアさんが引っ越しのお手伝いに来てくれたけど、家の掃除は必要ないし、持ってきた荷物はリュック一つ分。

 他にすることなんて、荒れ果てた庭の手入れぐらい。

 でも、さすがに昨日知り合った人に、面倒くさい草抜きを手伝って、とは言いにくい。

「良いんですか!? あ、でも、私、布を縫うくらいしかできませんけど」

 私の言葉に嬉しそうな表情を見せたロレアさんだったが、すぐに困ったような表情になった。

 でも問題は無い。布団作りの大半は真っ直ぐ縫うだけだからね。

「大丈夫、大丈夫。布を真っ直ぐ縫えればオッケーだよ!」

 私はこの村の流儀に倣い、ロレアさんの背中をポンポンと叩いた。


 昼食を食べ終えた私たちは、まだベッドしか無い私の部屋でお布団作りに取りかかった。

 お布団を作ったことが無いというロレアさんだったが、縫い物自体は上手かったので、私が所々教えながら作業を進めていく。

 お布団作りで難しいのは綿を上手く詰めるところなので、それを入れる生地作りをロレアさんに任せ、私は綿の準備。

 綺麗にお布団の形に整えたら、できあがった生地にぎゅぎゅっと押し込んで、ズレないように縫い止めていく。

「へぇ、お布団ってこうやって作るんですね……」

「ロレアさん、見るのは初めて?」

「はい。恥ずかしながら、ウチはこんなに綿の入ったお布団、使ってませんし……」

「あー、そっか」

 ロレアさんがちょっと苦笑しながらそう言うけど、よく考えたら少し余裕がある家じゃないと綿がたっぷり入ったお布団って作れないんだったよ。

 私も孤児院ではペラッペラなお布団に毛布で、身を寄せ合って寝ていた。

 寮に入るときにお布団を作ったのも、奨学金を貰えた事と、孤児院の先生に「良い学校に入るんだから、恥ずかしくない物を揃えないと!」と言われたからだし。

 まぁ、『恥ずかしい』とか『恥ずかしくない』とか私には特に関係なかったけどね。私の部屋に訪れる人なんていなかったから。先輩たちの部屋には数度お呼ばれしたけど、そこはさすがに貴族、なかなかに立派な布団をお使いでした。


 敷き布団と掛け布団を作ったあとは、シーツとカバーを縫っていく。

 こちらは縫うだけなので、二人でおしゃべりしながらひたすら縫う。

 『布を縫うくらいしかできない』と言っていたロレアさんの手際は非常に良く、はっきり言って私以上。得意だと思っていた私のお裁縫スキルも、所詮人並みだったのか……。

 でも、そのおかげもあって、夕方には綺麗なお布団セットが一組、完成したのだった。

「ありがとーー! これで今日は気持ちよく寝られるよ!」

 私はバンザイして、ロレアさんに抱きつく。

 正直、一日で終わるとは思ってなかったから、今日も毛布にくるまって寝るのを覚悟していたんだけど、予想外。

 本当、ロレアさん、様々。

「いいえ、お手伝いに来たんですからこのくらい当然です」

 私に抱きつかれて少し恥ずかしそうに、そうは言ってくれるロレアさんだけど、私も手が痛くなったんだから、彼女だってきっとそう。

「よし、これはお礼ね!」

 残っていた布から、一組の布団が作れるぐらいの布を切り取り、ロレアさんに渡す。

 わざわざ布団にしなくても、シーツやカバーとして使うだけで、環境調節布の効果は十分にあるし、きっと役に立つと思う。

「本当に良いんですか? こんなに綺麗な布、かなり高いと思うんですけど」

「気にしないで。ウチの店で売っている物ならタダではあげられないけど、まだ売ってないしね。あ、その布、環境調節布だから、私みたいに寝具を作るのがオススメだよ」

「ええっ!? それって、更に高いですよね……」

「大丈夫、大丈夫。自分が使いたくて作っただけだし。お友達になった記念だよ」

 良いのかな? という表情を浮かべるロレアさんに、私はパタパタと手を振り、さらっとお友達扱いしてみる。いいよね?

「そう、ですか? ありがとうございます」

 嬉しそうにお礼を言うロレアさん。

 よし、拒否されなかった。

 嬉しそうなのは、布のおかげだと思うけど。

「あ、でも、それなら服を作っても快適なんじゃ?」

「この布はあんまり強い効果は付けてないから、服に使うには微妙だよ? 無意味では無いけど」

 環境魔力や寝ている人の身体から漏れるわずかな魔力を元に機能する布なので、そんな劇的な効果があるわけじゃないのだ。

 でなければ、わざわざ綿を詰めた掛け布団を作ったりはしない。

 もっと効果を高めた環境調節布も作れるけど、必要なコストは増えるし、魔力も多く消費するので、少なくともお布団として使うのはとてもお勧めできないんだよね。

 寝ているのに魔力を消費して疲れるとか、本末転倒だし。

「なるほど、そうなんですね。わかりました」

「しかし、結構綿を使っちゃったね。ロレアさん、まだ在庫ある?」

「はい、そこまでたくさんはありませんけど、昨日買われたのと同じぐらいなら大丈夫ですよ」

「なら、近いうちにまた買いに行くね。クッションや座布団も作りたいし」

「は~~、さすがですね。私のお小遣いじゃ、とても綿なんて買えないのに……」

 なんて感心したようにロレアさんが言うけど……いやいや、ちょっと待って?

「ロレアさん、私、成人してるからね? 働いてるからね?」

 いや、正確にはまだお店はオープンしてないけど、お手伝いレベルのロレアさんのお小遣いよりは、経済力あると思うよ?

「あ、そ、そうでした。なんか、同い年くらいに感じてしまって」

「えっと、ロレアさんは今何歳?」

「今一三、もうすぐ一四になります!」

 うぐっ。二つ下、だと……?

「そ、そうなんだ? へぇ~、発育、良いんだね?」

「そうですか? 友達の中では少し遅いかな、と思ってるんですけど」

 無邪気に、悪気無くそんなことを言うロレアさん。

 うん、そうだよね。解ってた。

 この村と違って、同い年がたくさんいる王都で暮らしてたんだから。

 私が他の人より、成長が遅いこと。

 大丈夫、まだ成長期だから――一年前とほとんど変化無いのは、きっと気のせい。

「サラサさんは?」

「私? 私は一五だね」

「へー、そうなんですか」

 おや? 今チラリと視線がどこかに向かなかったかな? ロレアさん。

 もう少し露骨だったら、敵認定待ったなし――いやいや、この程度のことでお友達を失うわけにはいかない。

 チラリと浮かんだ黒い感情を笑顔で押し流し、私たちは日が沈むまで、年相応の益体やくたいもない話で盛り上がったのだった。


    ◇    ◇    ◇


 次の日、減っていた布と綿が、なぜか元の量よりも大幅に増えていた。

 いや、まぁ、別に不思議な現象が起きたわけでもなんでも無く、ロレアさんのお父さんが朝方やってきて、新しい布と綿を大量に置いていっただけなんだけど。

 昨日、ロレアさんが持ち帰った布を見て、商人であるお父さんはその価値が判ったらしい。

『子供の手伝い半日程度でこんな高価な物は貰えない』と、半ば強引に布と綿を置いていったのだ。

 確かに普通に販売したら、この布と綿よりも高いわけだけど、わざわざお手伝いに来てくれたお礼だから別に良かったんだけどね。

 ちなみに、ロレアさんにあげた布は、親子三人のシーツになったらしい。とても寝心地が良かったとお礼を言われてしまった。

 ま、せっかく貰ったんだし、この布は別の色に染めよう。

 ベッドと空色の布団のおかげで少し部屋の殺風景さが緩和されたが、まだまだカーテンやクッションなどで改善の余地はある。

 染色だけなら簡単だから、バランスを考えて良い感じのコーディネートを考えたい。

 自分の家を手に入れたんだから!

 とはいえ、近いうちに作るのはカーテンまでかな?

 まずはお店をオープンさせないと、お金が底を突く。

「家の中はひとまず良いとして、今日は外を確認しよう」

 大まかにしか見ていなかったので、問題のある場所をピックアップしないと。

 まずは屋根。

 ここが傷んでいたら、家としては致命的なんだけど……大丈夫みたい。

 表面にいてある金属板を錬金術で強化していたみたいで、予想以上にしっかりとしている。これなら、当分は大丈夫かな?

 ただ、掲げられている錬金術のお店を示す看板は傾いているし傷んでいるので、これは近いうちにゲベルクさんに直してもらおう。

 外壁も基本的には問題ないけど、少し補修した方が良い部分もあるので、こっちもゲベルクさんにお願いすればいいよね。

「問題は、この草ボウボウの庭と柵かな?」

 柵がなくても実用上は困らない気はするだが、ボロボロの柵はお店としてはさすがに見栄えが悪い。

 あ、いや、やっぱり柵もあった方が良いかな?

 今はともかく、裏の薬草畑を整備した後は、野生動物とかに入ってこられると困るし。

 庭の整備は、面倒なことを考えないのなら、魔法でスッパリ刈り取る方法もあるけど、幸か不幸か、薬草が混ざってるんだよね、この庭。

 それを無視して、全部刈り取る?

 いや、無理でしょ。貧乏性の私には。

「……よし、やるべき事を整理しよう」


 ・お店を開店する

 ・お店で売る商品を作る

 ・柵をなんとかする

 ・庭と薬草畑をなんとかする

 ・井戸水を汲み上げやすいようにする

 ・お風呂を稼働させる

 ・魔道コンロを作って料理ができるようにする


「短期から中期的には、こんな所かな?」

 あとは、優先順位を決めないとね。

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