【第1章】御剣透 × 御剣イツキ
監督:では、自己紹介からお願いします。ブリンガーの御剣透さんからよろしくね。
透:御剣透 18(♀)だ。聖アージェティア学院の理事長の孫。170センチの高身長で、ショートカット、AAカップのため、女子生徒からよく王子と呼ばれている。実は可憐な少女に憧れているが、幼いことから叩き込まれた騎士道がより可憐な少女のファンを増やしているのには気がついていない。親友のハルカと共にステラバトルで戦ってきたが、3年前に彼女は事故まきこまれ死亡してしまった。天涯孤独となってしまった彼女の弟を実家で引き取ることになったが、まさかその彼と共にステラバトルに臨むことになるとは。ハルカと共に守ると誓ったこの世界を、今度は彼と共に守ってみせる。
イツキ:御剣イツキ、12歳で聖アージェティア学園中等部に通ってる。両親は俺が子供の頃に死んじゃったんだ。でも、ハルカ姉さんが居てくれたから頑張れた、全然さびしくなかったんだ。けど……。数年前にハルカ姉さんも俺の所からいなくなっちゃった。あの頃はもうこの世界なんてどうでもいいと思ってた。絶望ってこういうことなんだなって。ちょうどその頃、小っさな頃から遊びに行ってた御剣さん家に養子として引き取ってもらえることになったんだ。お姉さん……っていうかカッコイイお兄さんみたいかな? そんな透さんと家族になって、優しくしてもらえて、とってもよかった。ハルカ姉さんは透さんのシースだったんだけど、死んだハルカ姉さんの代わりにシースに選ばれたのが俺。今回が初めてのステラバトルでめちゃくちゃ緊張してる……。ハルカ姉さんも初めての時はこんな気持ちだったのかな? でも透さんと一緒に、もう誰も悲しみを負わなくていい世界を目指して、頑張らなくちゃ!
✿ ✿ ✿
舞台は御剣家の邸宅、聖アージェティア学院の理事長にふさわしい大層な豪邸だ。シンプルで落ち着いた調度品が並ぶリビングで、二人の人間が向かい合って座っている。すでに冷たくなってしまった紅茶を白髪の長身の老人が静かに入れ替える。
透:私は入れ替えてもらった紅茶の香りを楽しみながら、沈黙を破る。「……ステラバトルが行われるのも3年ぶりか」
イツキ:「……ステラバトルってさ、やっぱり……怖いもんなのかな?」と不安そうに呟くイツキ。
透:「心配するな。私が付いている」
イツキ:「うん、ありがとう。でもやっぱりちょっと緊張しちゃって。ハルカ姉さんもこんな気持ちで戦ってたのかなって」
透:「そうだな……ハルカは決して戦いに向いている人ではなかった。でもこの世界の崩壊を防ぐためならといつも不安と戦っていた」
耳に着けた青いイヤリングをそっと触る。これは親友だったハルカが生前大事にしていたものだ。どうしても誕生日にイヤリングが欲しいとハルカが珍しくわがままも言って、ふたりで市場に行き、1日中探しまわり、やっと見つけた一品だ。
イツキ:「それ、姉さんが大事にしていたやつだよね。いつでも、どこへ行くときにも付けてた気がする」
透:イヤリングの片方をはずし、イツキに渡す。「イツキ。キミに持っていてほしい。お守りだ。今回のステラバトルで勝利できるように」
イツキ:「え……いいの? 透さんとハルカ姉さんの大事なものじゃないの? それに俺、イヤリングとかつけないし……透さんが持っていた方がいいんじゃない?」透の手にある青いイヤリングと、片耳に揺れるもう片方のそれを交互に見ながら、質問する。
透:「ハルカはこういうゲン担ぎを大事にしていたからな。嫌でなければ受け取ってほしい。……あっ、男の子にはこういうものは気恥ずかしいものだろうか……」すまない、とちょっとしゅんとします。
イツキ:「い、いやそんなことないよ! 気にしちゃったならごめんなさい!」
透:「そうか? それはよかった」
イツキ:「うん……透さんは俺の知らない姉さんを良く知ってるんだね。分かった、透さんと姉さんと一緒に戦うために、それ、俺にくれますか?」
透:嬉しそうに微笑んでイツキにイヤリングの片方を渡します。
イツキ:「ありがとう! きれいな色だね」
透:執事がいい笑顔でお茶菓子を追加してくれます。
イツキ:「ハルカ姉さんが初めてステラバトルに立ち向かったのって、今の俺よりも小さい頃からだったよね? 俺ももうハルカ姉さんが居なくなったときと同じくらいの年になっちゃったし、世界のために頑張らないといけないよな……」と昔を思い出しながら、言います。「あの時は子供ながらにすげーなあって思ってたなあ。ま、今もガキだけどさ」
透:「ああ。この世界を守ることができるのは我々だけらしい。世界の命運を決定する場に我々が選ばれたのであれば、その責任は果そう。ハルカと望んだ世界を必ず実現してみせるさ」
イツキ:「そうだね。ハルカ姉さんみたいにかっこよく……あっ、もちろん透さんもカッコイイって思ってるよ! 透さんみたいな立派なステラナイツになれたらいいな」
透:「ふふ、そうか。期待しているよ、イツキ」
イツキ:「うん!」
こうして平和な世界を、みんなが幸せになる世界を目指して、二人の戦いは始まった。
✿ ✿ ✿
観客1:う~~~ん。ブーケ17個!!!!
イツキ:ありがとうございます!
透:感謝する。
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