今回はモブで行こうと思います。
鷺沼祥
やっと10回目…
「やっと10回目…」
目の前にいる神様に向かって文句を呟いた。
「良く頑張りました。小島くん頑張ったので
特典をあげますよ。」
目の前の白髪のけむくじゃらの大男はふぉふぉと笑った。白いローブに稲妻マークのついたベルト。手にはよくあるファンタジーもののロッドが手に握られている。
彼は最高神。唯一無二の創造神。
ゼウス。
ゼウスは怪訝そうに僕に目をやる。
「納得いってないのですか?」
見た目は長老なのに、言葉使いが丁寧。
なんともチグハグな神である。
「納得というより、今回の転生には長い年月がかかりましたから、やっと終わったという安堵感です。ヘトヘトです。」
「ふぉふぉ。お疲れ様です。小島くん。もしよければ今回10回目なので、特別に元いた場所に返しましょう。」
え?
それって地球の事だよね?
僕が住んでいた一番最初の世界。
「ゼウスさん、いいんですか?」
「いいんですよ。頑張ってくださりましたから。」
ゼウスはにこやかに微笑んだ。
「ちなみに元いた場所にと時間軸に戻します。小島くんは小島くんに戻りますよ。」
「ええ?そんな事まで?ありがとうございます。」
礼を言うのはこちらですとゼウスは言うとどうやら僕を転生する支度に入った。
よく見るファンタジーの中の魔法陣などを展開していく。
「小島くんには本当に感謝してるんです。手違いで異形界や炎獄界やジュピターやカドラスなど救ってもらいました。先ほどまでは樹界の邪神、デビルローズまで撃退してくれました。」
そう。僕は何度も転生されてはその世界を壊したり、救ったり、崇められたり、死んでも蘇ったり、裏切り者のとして処刑されたりもした。
最近まで樹界に居た。樹界は木々に覆われた異世界で虫や花の化身しか居ない異世界であった。
デビルローズというのは樹界の神様だった。そこには1500年もの間デビルローズとの死闘を繰り返した。やっとの事倒して今に至る。
「ちなみに今回もステータスはリセットさせていただきますけど、特別に樹界で得た特殊スキルはそのままにしておきます。」
特殊スキル?そんなものあったか?
「さあ準備できました。この円の前まで。」
言われるままに前に出る。大きな魔法陣が呼応するように光り出した。
「それでは一名様、小島太郎君を地球に転生致します。時間軸はあの時小島君が死んだ場所からリスタートになります。それでは張り切って!!!!」
まるでホストクラブのような口上で言われた。これも毎度の事ななので意外と慣れている自分がいる。ただおじさんがノリノリだから顔が引き攣るのも毎度のセットだが。
それはさておき、魔法陣の光りが強くなり、僕を包み込む。眩しさに目を瞑る。
「いってらっしゃいませ〜!!!!!!!」
ゼウスがそういうと、次の瞬間にアスファルトの上に立っていた。
僕は一番最初の世界。地球に再転生されたのだった。
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