第39話:誕生日プレゼントの相談
天宮の誕生日を知るために、樹は朝比奈へと千五百円のクレープを代償に支払った。
天宮のためと思えば安い代償ではある。
その日の夜、樹はベッドに横になりながら考える。
それともクリスマスプレゼントと誕生日プレゼントは分けた方がいいのか?
樹は分からなくなり一条へと電話かけた。
しばしのコールの後、一条が出た。
『もしもしどうした樹?』
「一条今大丈夫か?」
『大丈夫だよ』
「相談なんだ」
『相談? ……もしかして天宮さんのことか?』
「ああ。実は──」
察しがいいなと思った樹は、一条に事情を説明し助けを求める。
『そっか~、それで俺に電話を』
「そうなんだ。頼れるのはお前だけなんだ。頼む! リア充であるお前の力を貸してくれ!」
『はぁ……まあ、分かった。樹のためだ。力になるよ』
「助かる」
一条は自分の考えを樹に伝える。
『まず僕だったらクリスマスと誕生日のプレゼントへ分けるかな』
「やっぱりそれがいいのか……」
『その方が喜ぶからね』
「……それは経験談か?」
『ああ』
「そうか」
樹の中では、プレゼントは分けた方が良いと決まった。だが、次はプレゼントだ。
「ならそうしよう。それとあげるプレゼントのうちの一つは決まってるんだ」
『本当か?』
「ああ。天宮さんぬいぐるみが好きなみたいでな。それにしようかなと」
それを聞いた一条は、天宮さんってぬいぐるみ好きなんだ、と思うが言葉には出さなかった。
『それはどっちで渡すの? クリスマスプレゼント? 誕生日プレゼント?』
「荷物的にも分かるからクリスマスプレゼントがいいのかなって……」
『うーん。そこは樹に任せるよ。人が渡すプレゼントに僕が口出し出来ないからね。僕が出来るのは助言と相談に乗ることだけだよ』
「ありがとう。少し考えてみる。今日はありがとうな」
『気にするなよ。友達だろ』
「だな。おやすみ」
『ああ、おやすみ』
樹は電話を切った。
菜月に相談するのもありかもしれない。
(菜月にからかわれるんだろうな~)
そう思いながら樹は寝るのであった。
翌日。天宮と登校する樹はさり気なく何か欲しい物がないのか尋ねてみた。
「天宮って何か欲しい物とかあるのか?」
「え?」
急にそんな話しを振った樹に驚いた天宮は、樹の方を見てそんな声を上げた。
「特に……」
「そうか」
「突然どうしたのですか?」
「少し気になってな」
「そうでしたか」
適当に誤魔化したが、天宮はそんなことを聞いた樹を不思議そうに見ていた。
(何かあったのでしょうか?)
樹が何を思ってそんなことを聞いたのか、天宮には分からなかった。
それから、途中で別れて学校へと到着した樹に一条が話しかけてきた。
「それでどう? 考えはまとまった?」
「いやぜんぜん。これぽっちもまとまらないよ」
机に突っ伏す樹に一条は、まあそうだよなぁ~、と呟いた。一条自身も、朝比奈に渡すプレゼントとかは悩みに悩んで買っているのだから。
「もう十二月に入ったし、今度の休みに二人でショッピングモールに行かないか? そこで探してみようを丁度僕も渡さないとだからね」
「そうするか……」
「決まりだね」
こうして授業が始まるのであった。
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