第38話会話(side栄華)
「クッ……!こいつが、大王……黒幕かぁ……」
私は、司令室のモニター画面を観ながら司令席の座席を叩いた。
まずは先行する、スナイパー部隊で、占拠されているテレビ局のジャッカルたちを、閃光弾で殲滅し、その後、大王の元へと、我々全員で殲滅にかかることを伝えた。しかし
私は、一旦、医務室のテスター治療を受けている、カイトの母、
「どうだ?回復具合は……」
そう尋ねると東郷は、首を横に振った。私は、依然、意識が戻らないことを悟った。
「なっ! なんだぁ!?」
声を挙げた私と、東郷の目の前には、ロボットテスターから甦ったばかりの、水浸しのカイトの姿だった。
「母さん! 母さん!」
そう叫ぶカイトは、意識は戻っているが、まだフラフラとした足取り。しかし、力強い何かを感じ取ることが出来た。ただ朦朧とする意識の中で、母が呼んでいるかのように医務室に現れたのだった。
「どうなんだぁ! 母さんは、生きてるんだろうなぁ!」
「カイトくん待ってぇ! まだ美咲さんは意識がもどって……」
東郷の言う事など聞かずに、カイトは、
「俺には、母さんの言葉が聞こえるんだ!ちょっと待ってろ!」
以前の、優しさに満ち溢れていた、少年カイトの姿では無く、そこには、一人の男としてのカイトがいた。
「カイトくん! 何をしてるの! そんな事したってぇ!」
東郷が声をかけるがカイトは黙ったまま。
まるでそれは、以心伝心と言う言葉が、相応しいのか分からない。だが、
しばらくの沈黙が続くと、カイトは、スッとベッドから離れた。そして私、
「
「なっ!? なんだってぇ? ちょっと待て! なぜそれを知っている。それに父さんの形見ってどういう事だ!?」
「俺は今、眠った母さんの意識と会話をした」
「会話って……」
「あぁ! 俺たち
「カイト……」
「それにな、あんたに挿したアンプルがあれば、
「そっその事も知っているのか?」
「あぁ、今さっき母さんの意識の中と会話して全部聞いた」
「待ってぇ! カイトくん! アンプルはまだココには到着してはわ!」東郷が言う。
「なんだって?」
「AIアンプルは今アメリア国から輸送中、テレビ局や水島駅全員の人間を元に戻すだけのアンプル量は無いのよぉ」
「チェッ! 役に立たねぇな!!」
「明日朝までには到着する予定にはなってるから」
「じゃあそれまでに大王を倒してやるよ! 白のスーツを着させろ!あるんだろ!?」
「お前……その体で……何が出来るってんだ! 確かにお前には合うだろう……だが、今の状態では、戦闘力がアップしすぎて体が持たないぞ!」
「フンッ! あんたさぁ? 俺の波動力は、見たはずだろ?俺が、人間の姿のままで、倒したのは誰だっけな?」
「きっきっさま!」
堂々と言いのけるカイトの姿に、私は、スーツホルダーへと案内せざるをなかった。
「美由紀! アメリア国からの便の事頼んだぞ!」
「OK!任せて!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます