賢者の幼なじみより村人の俺の方が強かったんだが
希島カツキ
1-1 普通じゃなくなった日
俺は霧山かずと
16歳の高校一年生だ
学力は普通でそこそこ運動ができる普通の高校生...のはずだった
明日はテストだし勉強でもやってみるか。
「おーい!かずとくーん」
「ん、みなとか。どうした?」
彼は葉山みなと。彼とは中学で知り合った。ラノベ好きで話が合い、よく遊びにも行く仲だ。
ラノベ全般的に好きだが、とくに異世界系が好きならしい。
「おすすめの異世界もののラノベ紹介するから本屋に行くんだよ!期待しててね!」
「あぁ……みなとのおすすめか、楽しみだな!」
そういやそうだった。
「さあさあ早く行こうよ!」
「うん。そうだな!」
最近は忙しくてなかなかみなとと遊ぶ機会がなかった為、久しぶりである。
ちなみに自分で言うのもあれだが、俺は少し厨二病気味だ。
本屋へ向かう途中も異世界系の主人公ってかっこいいよなぁなんてことを考えながら歩いていた。
プッ!プップー!
クラクションが鳴った。
クラクションのなる方を見ると道路のど真ん中に女の子が立っている。
片手にはボールを持っている。
「危ない!」
みなとが叫んだ。
運動が少しできるだけでそれ以外は普通の俺だが、何故だか正義感だけは人一倍強かった。
俺は全速力で走った。
そして俺の意識は無くなった。
俺は目覚めると真っ暗な場所に倒れていた。
「目覚めたようですね。かずと」
「こ……ここはいったい?」
「覚えてないのですか?あなたは先ほど..」
「そうか!俺はさっき、女の子を助けて..そのあとに...?」
「そうです。あなたは少女を助けようとし、命を落としました。しかし、まだ16歳という若さ。死ぬには早すぎるのです」
ここで俺の厨二病魂が燃えた。
「まさか俺って異世界に!?」
「その通りです。あなたはこれから異世界で一から人生を始めるのです」
俺は興奮した。
「ま、まさか夢にまで見ていた異世界デビューだと!?最高すぎんだろ!」
「最高……なのですか?異世界では魔物、魔族、魔王が人々を苦しめています。いつ襲われるかわからないのですよ?」
何言ってんだ。世界を救う俺が怖がるとでも。
「んなこと分かってるって!大体俺が魔物、魔族程度にやられて誰が魔王を倒すんだって話よ」
「あなたでは魔王討伐はもちろんEランクの魔物すら倒せないですが」
めんどくさいタイプかよ。
「またまたご冗談を。異世界に転生するときは主人公は最強ってお決まりだろ。んーやっぱり勇者もいいが賢者ってのも捨てがたいな」
「勇者も賢者もおられます..というより、もう少しで現れます。それとあなたの役職は村人です」
「んなわけが」
「村人です!!」
「現地では15歳から役職を与えられますが、転生者のみ事前から知らされます。」
「う……うそ……だろ。村人って……」
「もう時間がありません。もうすぐあなたは村人の子として現地で産まれます」
俺はとにかく頼んだ。
せめて村人以外で、戦える役職でと。
変わることはなかった。
「さぁ、間もなく異世界での新しい生活が始まります」
体が光に包まれる。
「幸運を祈ります」
夢にまで見た異世界転生が、とても辛い。
思わず叫んでしまった。
「異世界転生で村人かよぉぉぉぉおお!!」
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