140字小説 (現代ドラマ)

仕事帰りの孤独なサラリーマン

 仕事終わりの僕は、鉛のように重い足を持ち上げ帰路につく。

 摩天楼の中の交差点、多くのサラリーマンは、顔を赤くして、馬鹿げた声で笑いながら僕の横を通り過ぎていく。

 酔っ払った人間って本当に馬鹿みたいだ。嫉妬している自分に言い聞かせた。


階段

 おばあちゃん家の階段、昔は一段一段が高くて、四つん這いになりながら駆け上がったっけ。

 今は、二本足でしっかりと踏みしめながら上っている。

 歳をとったら、今のおばあちゃんみたいに、足が悪くなって、また四つん這いで上がるのかな。


Gの逆襲

 今日はどうやって殺してやろうか。潰してやろうか、燃やしてやろうか、凍らせてやろうか。

  お前が悪いんだぜ。勝手に俺の部屋に入ってくるお前がな。 覚悟しろ。

  あ、ちょっと待って、顔に向かって飛んでこないで、ごめんなさい。許してください。


-ゆとり社員-

 「近頃の新人は何で残業しないんだ」 私は上司から罵倒された。

 上司の命令に泣く泣く従い、翌日から意味のない残業を始めた。同じ小言を聞いた君は、それを無視して定時に帰った。

 三年後、僕が上司になった時、同じことを部下に言った。部下は君を慕い、私は一人になった。


-認められること-

 宇宙の果てはあるのだろうか。天涯孤独の僕は銀河に瞬く星を見つめながら思った。

 この星に僕の居場所はない。ならいっそ、宇宙の果てに行ってみたい。誰も何もない場所へ。

 数十年後、僕は光速を超える宇宙船を作っていた。ただ、この星を離れたいとは思っていなかった。

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