美少女しか知らない飛竜の秘密
闇野ゆかい
第1話
季節は春をむかえていた。
雲ひとつない青空が広がっていて気持ちいい日。
黒髪が胸のあたりまで伸びている小柄な美少女は珍しい生物の世話をしていた。
村の外れの丘で小柄な美少女、フィナーリレがひなたぼっこをしていた。
「キュィィィン、キュィィィン」
甲高い鳴き声をあげてるのは飛竜だ。
フィナーリレの頬に頭を擦りつけているのは翼が小さくて、体が青い鱗で覆われている飛竜。
「ああー、よしよし」
フィナーリレは飛竜を撫でる。
フィナーリレが撫でている飛竜は一ヶ月前にケガをしたまま、このラナケの丘に降り立った。
私、フィナーリレが住むコウルギ村の上空を飛んでいる飛竜に気付いた村人が騒いだことで、コウルギ村が大騒ぎになった。
空想の生物と思っていた飛竜が村人達の瞳に映り、飛竜が飛んでいる現実が受け止められずにいた村人全員。
誰もが、飛竜なんて物語に出てくる空想の生物と思っていた。
フィナーリレも思っていた。
村人達は襲われて、暮らしができなくなると思い込み、最初飛竜を殺そうと言い合っていた。
しかし、飛竜が降り立ったラナケの丘に向かうと飛竜は弱っていた。
村人は安心して、飛竜を殺さなかった。
翌日以降。村人達はラナケの丘に近づかなくなった。
こうして、今に至る。
飛竜にヒュードラグと名付けた、フィナーリレ。
ヒュードラグには大きな秘密がある。
その秘密はフィナーリレしか知らない。
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