異世界西部劇
なんよ~
無口なよそ者
荒野に風が吹く。ひとりの少女は、馬らしきものを操りながら荒野を颯爽と駆けていく。
少女の後ろには、別の少女が縛りあげられていた。そして、縛りあげられている少女が叫ぶ。
「離せ!!おい、お前!!聞いてんのか!!」
少女はなにも言わず。いきなりその少女の顔に平手打ちを喰らわす。
「いてぇええ・・・この野郎・・・覚えとけ・・・」
「・・・黙れ。」
そう言って、また少女は馬を走らすのであった。
そして、荒野の街に到着する。そして、縛り上げた少女を馬から、下ろし担ぎあげてある建物に入る。そこには、女ひとり踏ん反り返っていた。
「よぉ、よそ者。今回の獲物はなんだ。」
そう言って、少女が連れてきた少女の顔を覗き込む。
「ほぉーー、巷を賑わせてた。無法者のイズラじゃねぇか。やるなぁ。報奨金の100リラだ。」
その女の話を寡黙に聞きながら、彼女は連れてきた少女を檻にいれる。そして、報奨金の硬貨の枚数を確認して、何も言わず立ち去るのであった。
少女の通り名は、無口なよそ者クラリス。その街ではそう呼ばれているのであった。
建物を出た少女は、街の酒場に立ち寄る。店主がその少女に気付く。
「よう、よそ者。今日は何にする。また、あれか。」
彼女は無言で頷く。
店主はコップに何かの果実を搾り、それを彼女に出す。彼女はそれを無言で飲む。
「まったく、お前さんはこれが好きだな。ライジュなんて、皆あまり好き好んで飲まないのに。」
そう言いながら、彼女の耳元でそっと質問する。
「今回の獲物はいくらしたんだ。」
彼女は、何も言わないまま、そっと人差し指を立てる。
「ほぉー、100リラか。まぁ、小物なんざそれくらいだな。で、次の獲物はなんだい?」
そう言って彼女に質問する。
すると、彼女は店の入り口に張り出されている掲示板の左を指さす。
「おお、灰色のニッタか。こいつを狙っている者はほかにもいるぜ。早いとこ見つけるんだな。」
そう言って、店主は掲示板に近づき一つの絵を取り外す。
ライジュの果汁を飲み終えた。彼女は、2リラをおいて店を後にし、馬に跨りゆっくりの夕日の中へ消えていくのであった。
街の者は、彼女がいつから居たのか、誰も知らない。いや、そんなことどうでもいいことなのだ。ここら一帯は、流れ者や訳ありが行き着く場所。そんな場所に彼女は流れ星の如く現れたのだ。
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