Un succEss Full

アリエッティ

第1話 導く先は..

失敗作だと言われた。

連れられて着いた先は、レンガ造りの大きな城。


霧の立ち込める森の中に聳えるその城は何のためにあり、誰がすんでいるのかも分からない。

ただ導かれ、辿り着いた。

「重たっ..」

大きな扉を開けると石の高い背もたれの椅子に膝を立てて座る男が待ち受けていた。

「新しい奴か、面倒だな。」

男はこちらを睨みつけながら、ボソリと口先で呟く。


「あの..ここどこですか?」

「城だ、見りゃわかるだろ。」

「いやその、そういう事じゃ...」

「待ってろよ、今案内してやるから。

ランタン取って来るから、ここで待ってろ。動くなよ?」

頭に刺さるネジをぐるぐると回しながら気怠そうに足を動かす。

「こんなところに、誰が建てたの?」

そんな様子で窓の外を眺めていると、ランタンを持った男が道を照らしながら戻って来た。

「ほらいくぞ、ついてこい。」


「ちょっと待って下さい。」

「..何だよ?」

「その前にアナタは一体?」

「...あぁ、此処の案内役兼用心棒のフランケンだ。これでいいか?」

「ああ..はい、結構です。

...はやく先へ行きましょう?」

「そうするぜ、前から言ってたろ」

案内役のフランケンがいうには城の中身はこうだ。

四階立てで一階は食材や資材置き場


二階は食事場となっており、大きな部屋にナプキンを掛けたテーブルを幾つも置き、作られた料理を堪能する。


三階はゲストルーム

ダーツやビリヤード、スポーツジムを完備の他で壁を介して密かな部屋を設け絵を描いたり、昼寝をしたりと静かな時間を楽しめる。


最上階である四階にはベッドルーム

城に佇む者の休む部屋が、ホテルのように廊下を挟んで壁際に並んでいる。

何かをしようとする際、中の者は必ず下へ降りなければならないという悪循環を漂わせている。


「まぁこんなとこだな、それ程難しくは無いと思うぞ。..初めてでもな。」

「ここに、住んでるんですか?」

「住んでるか..住まわされてるのが正しいかもな、不自由は無ぇが。」

そう語る男の目は何処となく寂しさを感じ、冷たさを帯びていた。

「僕ここに、スーツを来た人達に連れられて来ました。〝失敗作〟だとか言われて...。」

「失敗作か、最近じゃあそこまでハッキリ言われるんだな。表現の工夫も忘れたか」


「知っているんですか?

あの人達の事、なにか。」

「知っているも何も、〝俺達〟はソイツらに此処に連れてこられたんだ。」

「えっ..?」

「そういう場所なんだよ、出来損ないの人造物が棄てられるゴミ箱。誰も来ない、森の中のな。」

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