3話2Part 運命の曲がり角現象...的な?②
「あ"ー......」
「どしたの?最近ため息ばっかりだけど......」
「いや、それがな?......」
俺は買い物でのことを話し、そこから少し進んだMINEでの会話のことも話すことにした。
買い物でのこととは、買い物中にぶつかった青年とのこと。ぶつかっただけならばすみませんの一言で済むのだが、青年が買おうとしていた豆腐が、望桜と青年の体の間で見事にプレスされてしまったのだ。
無論、それも望桜は別に気にしてないし、先に述べた事同様すみませんで済むはず。......だったのだが、青年の方がむしろ気にしており、お詫びに昼食をいつか奢らせてくれと言ってきた。
......そしてその先のMINEでのこと。
......青年の名は
そしてお互いが都合のいい日(或斗側に特別な用事が入ることはほぼないので、俺のバイトが休みの日)をMINEで確認して、結果次の土曜日ということになった。
そこまではいいのだ、そこまでは。
問題は急遽或斗が家を空けられなくなったから、向こうの家で何か作ってご馳走することに決定したこと。俺も甘かった、結構好みの青年だったからってテンションの勢いのまま快諾してしまった。......だって家に行けるんだぞ?普通に考えたら快諾するだろ。
そしてなにより1番の問題が......
『瑠凪さんも喜ぶと思います!よろしくお願いします(◍´꒳`◍)』
或斗が送ってきたこの文章だ。瑠凪さん?うちのバイト先にも同じ名前の尊き同僚
がいるのですが......
とにかく、読んだ瞬間めっちゃ焦った。漢字まで一緒だし、よく考えたらオーナーや丞と"瑠凪はシェアハウス生活している"ということがわかる会話何回かしてたわ俺......
「......と、いう感じなんだが......」
「馬鹿じゃん」
このあいだの出来事で、新たに同居人となったベルゼブブ改め
「......テンションのままに快諾したって......理由が馬鹿すぎる。もうなにもせず行けば?」
「......はあ、そうするしかないか」
「ただいま〜」
「あ、おかえり的李」
......と、鐘音とあれこれ議論していたら、的李が帰ってきた。最近は古本屋の客足の伸びがいいらしく、夜までかかって帰ってくることも少なくない。こいつは魔王軍では作戦参謀として、かなりの戦力差があった竜狼族との戦いでも、的確な現場指示と作戦書で勝利に導いてくれた、意見を聞いておくのもいいかもしれない。
「......馬鹿だね」
「やっぱそこに行き着くのかお前らぁ〜......」
今に始まったことじゃないが、うちの同居人は2人とも毒舌、無自覚のハートブレイカーだ。
「気分のまま快諾した時点でダメなのだよ。もっと相手の情報を得て弱点を探り、それから敵の本丸に乗り込むか否かを判断せねば。まったく、人間というものは無能な猿から進化した生物、望桜もそれであるだけのかなり短絡的な考え方なのだよ」
「お前何か勘違いしてねえか??あと俺今は悪魔とのハーフなんだが......」
「君はちょっと特別で、猿から人間に進化して、そこから悪魔に進化したのだよ。だから元は同じ。......あれ?ちょっと神気くさい?」
「まじかぁ〜......なんか言ったか?」
「なんでもないのだよ」
(断るか?でも結構MINEの文章内容的に或斗くんめっちゃ嬉しそうだしなー......)
「......あ〜!!もうどうすればいいんだろうな〜!!......あ”あ”〜!!!」
「望桜煩い!!」
「鐘音!もうその墓穴堀野郎はほっといて夕食を食べ給え!」
今日も本町のマンションで怒号が鳴り響いた。行くのを楽しみにしている反面、お互いの立場が立場なのでちょっとだけ不安だった。
──────────その頃、明石市のマンションにて......
「うぬぬぬ......あ!ちょっとおま、お前え〜!!仲間殺してどーすんのさ!」
「忙しいねぇ〜」
ソファに座ってテレビゲームをする小柄な少年......瑠凪と、その横で寝転がるJKが居た。
「いや、だって仲間殺すっておかしいでしょ!?」
「るったんちょっと落ち着きな?」
「いや......謀反して何か得がある訳でもないでしょこのゲーム......単純な5VS5なんだから......!」
「ダメだあれ......あっ!そのコスのノア君可愛い〜!!」
「貴様も落ち着けニート」
瑠凪を落ち着かせようとしている過程で、自分も2次元の推しを見つけ興奮しだしたJKにツッコミを入れた青年、その青年こそが渦中の人物、餅月或斗である。或斗の同居人は2人、桃塚瑠凪と
瑠凪は望桜のバイト先の同僚であり推し(望桜の中では)。沙流川太鳳は鈴蘭台にある私立聖ヶ丘學園の3年生で、バレー部に所属している。見た目は金髪を後ろに流し、その1部を2つにまとめたツインテールに、肩出しの服と膝上丈のミニスカとかなり活発に見えるのだが、家でゴロゴロして、お菓子食べて、外に出るのはアニメイトや遊園地等の娯楽施設に行く時と學園だけ。ニートJKである。
「ところで、るったんはボクとあるきゅん以外の人が家に居ても大丈夫なの?」
「俺の事を変なあだ名で呼ぶなニート」
「ニート言うな!!」
「大丈夫だよ?てか僕は人数多い方が楽しいと思うし、なんならみんなでこれで対戦してもいいし」
と言いながらゲームを見やる瑠凪。来客も、一緒に昼食をとってはいさようならじゃ虚しくなるだろう。自分だったら少なくとも寂しくはなる。
「いいの!?やったー!!!」
「よろしいのですか?」
「いいよいいよ!昼食後にすぐ帰ってもらうのじゃ、ちょっと可哀想だしねww」
「にしし!来客ごときにはボクは負けないぞ!ってことでるったん、ボクと勝負だ!まずは君を倒ーす!!」
「お!いいよ、望むところだ!僕も負けないからね!」
「その前に夕食ができましたので、先にお召し上がりください」
「はーい!」
「わかった〜」
「ところで、るったんってボクとあるきゅん以外の人の前じゃ一人称"俺"だよね?でも元々は僕だったじゃん?」
「んー......まあそうだね」
「それって信頼されてるってことでいい?」
「うん」
「やたー!やったぁー!!」
こちらはこちらで、元気のいい声が響き渡る。来客が来るのを楽しみにしており、歓迎ムードだ。
そしてその運命(?)の土曜日まであと3日......自身の態度が原因で険悪な空気(望桜がそう感じているだけ)になっている来客が来るとは露知らずの瑠凪は、同居人2人にその事についてもおんぶだっこ。果たして......
───────────────To Be Continued──────────────
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