時は平安。安倍晴明の血を引く、ストレスに少々弱めな陰陽師である安倍播磨守靖晶は、出逢う少女占い師の藻(みくず)や彼を気軽に呼び出す五位の尼御前・預流に振り回され、呪詛やら恋やらがいっぱいの大騒ぎに巻き込まれていく!
平安もの、しかも陰陽師ものといえばムーディーでダークな物語が王道なわけですが、このお話はちがいます。時代性をしっかり押し出しているにも関わらず、地の文ばかりかセリフにまで英語を散りばめたライトタッチで、まさに軽妙洒脱。
それがまた読みやすさを生むに留まらず、キャラクターを浮き彫ってるんです! 登場人物それぞれ、いろいろ大変な状況の中にあるんですが、悲壮感いっさいなくて、そんなものに押し潰されてやるもんかって力強さに満ち満ちてて。展開する会話劇の中に織り込まれた彼らの生き様は本当に魅力的です。
掟破りは下手を打てば野暮に堕ちますが、全力で破り切ってるからこその粋がある。だからこそ時代物は苦手って人にぜひオススメさせていただきます!
(「魅せる人間ドラマ!」4選/文=髙橋 剛)