変食

月満輝

合掌

手を合わせて一言。

箸を挟む親指を見て思考を止める。

湯気を立てる白飯。

不自然に形作る味噌汁。

これを人は朝餉と呼ぶ。

白飯とも味噌汁とも呼ばない。

偶然同じ時に並べられ、偶然同じ時に口に運ばれる。

その偶然のためだけに朝餉と纏められる。

誰も望んじゃいないのに。

誰も頼んじゃいないのに。


椀を手に取ると、僅かにその温もりが薄まっていた。

せっかくの朝餉だ。

冷めないうちに頂こう。

手を合わせて一言。

この下らない大衆主義の社会に皮肉を込めて。



「頂きます」


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