第3話 ポーション作成

【ポーション作成】


頭の中にメリリの声で【ポーション作成を授かりました】って聞こえてきた。何かゲームみたいだな。

でも、ポーションか。確かに回復薬は冒険や戦いの必需品だから需要もあって金を稼ぎやすいよな。スキルでポンポン作れるなら楽で簡単だ。それに怪我人や兵士からは大量に生産できるなら尊敬や感謝をされるかもしれないな。一応、要望にはすべて応えられているのか。

「ふっふっふ。どうよ? ワタシの信者に自分からなりたくなって来たでしょ!? ムフフフ!」


(んー、幾つか質問。……真面目に答えてくれ。こっちの世界ではポーションは必需品なのか?)

「ワタシは何時でも全力で――いえ、分かったわ。ゴホン。ええ、ポーション職人は一握りのエリート職業だし、ポーションは人々の生活に深く根付いているわ」

ポーションは誰にでも作れるハズレ職業ってわけではないみたいだな。他にも作れるヤツがいるなら俺が目立つこともないだろう。


(ポーションの需要に対して供給は追い付いているのか?)

「いいえ。さっきも言ったけどポーション職人は一握りの選ばれた人だけの特殊な職業なの。ポーションが根付いているとは言っても数は全然足りていないわよ。最も安定した職業はポーション職人だとワタシが保証してあげるわ」

需要は十分か。それなら金稼ぎに持ってこいか。メリリの保証は心配だけど。

「ちょっと! 聞こえているからね!」


(こっちの世界では、冒険者やハンターが魔物や魔族と戦っているのか? 国同士の戦争とかあっているのか?)

「スルーしないで…………最近は大人しいけど国同士が領土を求めて戦争することはあるわね。冒険者が魔物と戦うこともあるわ。でも魔族は獣人族とかと同じ他種族の一つの種族だから人間と特別敵対しているとかはないかな。戦争をすることはあるけど」

冒険者がいて国同士で戦争が起こるって事はポーションの価値は揺るがないかな。気になる点は幾つかあるけど、これは現地で確認した方がいいか。メリリの言葉を鵜呑みにしてたら痛い目に合いそうだし。

「……だから聞こえて、もういいわ」


(この世界は魔法やスキル、能力と言った超常の力が溢れているのか?)

「魔法は存在しているけど、そこまで多くないわよ。ステータスとかレベルとかはないから、修行をしたらドンドン強くなっていくってことはないわね。超常の力って言うならワタシ達女神が与える魔法だけが該当するかしら。その道を極めた人ってのはいるけど、ワタシ達が与える魔法ほどの能力はないわ。人が到達できない領域にあるのが魔法だと思ってくれたらいいわ」

…………つまり俺も人外の一人になったってことか。ポーション作成魔法がバレないようにしないと色々マズいのか?


(ポーション作成って俺が薬草を集めて調合したりする必要があるのか?)

「いいえ、簡単に楽してって要望だったから普通は時間を掛けて調合するポーションをキミは欲しいポーションを思い浮かべるだけで作成できるようにしたわ。ただし数は制限させてもらうわよ。ポーションにはSからFまでランクが設定してあるの。キミにはAからFまでのレア度に応じて作成数を制限しているわ。Sランクはキミが正式に私の使徒になったら作成できるようにするわね」


作成数を制限されたか。まぁあまりに大量に作れば注目が集まるしほどほどのスキルって意味でも要望通りか。……信者から使徒に格上げしようとしてもSランクが必要にならない限りは無視できるわけだな。元々目立ちたくないんだからSランクは不要だな。


「ちょっと! なんでそんなにワタシのことを避けるのよ! Sランクは神話級の幻のポーションなのよ! 作れるのはワタシの使徒であるキミだけなのよ!」

(勝手に人を使徒にしようとするな!! 俺が苦渋の思いで受け入れたのは信者になることまでだ! 邪神の使徒って思われたら普通に生活できないだろう! 普通に討伐されるわ!)

「ワタシは邪神じゃないわよ!? ……ならキミには信者としてワタシが邪神ではなくアルテと同じ女神であるって事を喧伝してもらうわ! 一年以内に何か成果が上がっていなかったら能力を取り上げますから!!」

(やっぱり邪神じゃねぇか! なにナチュラルに不可能なことを要求して脅迫してんだよ!!)

「不可能じゃないわよ! 本当にワタシとアルテは同じ女神なのよ!?」


例え同じ女神だったとしてもこれまで何もしてこなかったメリリの知名度は低い。邪神と勘違いさせるレベルとか終わっているだろう。アルテミリナ様との差が修復不可能なほど離れていたら信仰を得るのは簡単じゃないだろうが。…………いや、ポーション、か。


(…………信者を増やすことが出来たら成果と認めるか?)

「何か思いついたの!? ええ! 信者を増やしてくれたらキミを使徒と認めてあげるわ!!」

(だから人を使徒に格上げするな!! …………ただ上手く行かなかったとしても俺の努力は評価してくれよ。信者を増やす努力はするけどこの世界でメリリの名前が邪神として定着していたら本当に不可能かも知れないし。…………その際は魔法はそのままで俺を信者から除名していいから) 

「イヤよ! それ絶対真面目にしないヤツでしょ!? 真面目にしないならキミに女神の呪いを付けるからね! 幸運値マイナスになるからね!!」

(どう聞いても邪神の呪いだろうが!! お前以前に同じことやっただろ!? それで邪神の噂が流れたんだろう!!)

「し、しし、しら、しし、しらな、しらな、知らない、わよ」


いきなりドモリ過ぎだろう…………これは前途多難だな。

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