地球から人類が居なくなる時

峪明博

第1話 約3000000000m/sの世界

人間が限りなく光の速さで移動出来るようになった頃、彼らはよく宇宙に行って、他の星へ旅行するようになった。

アインシュタインが相対性理論を論文に書いて約300年が経った、西暦2200年。

日本は列強を維持し、アメリカ、イギリスと並んで第3位をキープしていた。

宇宙エレベーターはもう下火になり、宇宙ロケットで地球を一周するのに、1秒もかからないのは当たり前。月にも地球から見て、約3秒で着く。火星にも30秒もあれば着く。

火星に行った人類は既に3世代交替が起きていて、身長は地球人の平均の約2.5倍の高さになっている。

そしてなんと言っても限りなく光の速さで移動するので、時間が(静止状にいる人の時間より)相対的に遅くなる。だから、ほとんどの太陽系の星々に行くのに、乗り物に乗っている人達の時間は2秒も経っていない。

寿命も医学の発達で、平均寿命150歳までになった。玄孫を見るのも当たり前になった。

そんな世界に彼等はいる。

「ふぅ。授業だりーなぁ。」

山中煌がしんだそうに言うと、

「まっ、工学部は量子力学を学ぶのは必須だからな。」

竹田浩二は淡々と言った。

「量子力学はムズいな。」

山中はほとほと参ったように言うと、

「300年前の理論とは言え、今でも使われるからなあ。仕方ないさ。」

竹田は山中に諦めなさいと言った。

「dt1*dt1 = dt*dt(1-v*v/(c*c))だからなぁ。こんな式が通用するんだから。」

山中は苛立ち、しかし尊敬の念を持って言った。

「しかし、質量を制限するのが大変だ。」

限りなく光の速さで移動すると、質量が∞に近づく。これを制御できるようになったので、限りなく光の速さで移動出来るようになった。

「老けにくくいるにはずっと乗り物に乗るしかないな。」

「確かに。」

二人は笑った。

そして、地球を統一せんとする某国を発端とする第7次世界大戦が始まる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る