第11話 腐敗

施設内での生活が始まった。

生活は厳しいものではなく比較的、内規は緩やかだ。

月一度、幾許かの自由に使える金銭を支給される上に、医療費は無料の為、歯の治療を受ける事もできた。

新しい中学校も転勤族の子息が集まる学校のようですぐに溶けこめた。

順風満帆な学校生活と裏腹に施設での生活は暗礁に乗り上げていた。

施設内部では非常識な行動が横行していた。

家庭環境に問題があり、幼いころから入所している人間が大半を占める内部は一般常識が通用しない猿山であった。

少年は一般家庭での生活が長かった。施設内の生活に対して次第に限界を感じだす。

施設内ではこのような事件が日常茶飯事だ。


・他人の居室に入り込み窃盗。

・洗濯機に空きがなければ他人の洗濯中の物を放り出し自分の物を回す。

・気に入らない人間をベランダに締め出す。

・寝込みにシーツカバーで顔を覆い暴力を振るう。

・食事中も自分の好きなおかずが有れば他人の分も平気で横取りをする。


自分が良ければそれで良いという無法地帯だ。

人に成れなかった底辺が集まるとこうなるらしい。


次第に少年の良心も壊れ狂気に堕ちていった。

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