主人公が異世界を訪れて活躍するという話は珍しくもないが、異世界から戻って来てからの物語はあまりない。
帰還者と呼ばれる、元異世界の勇者達は理想郷とも呼べる異世界から、夢も希望も無い現実の世界に戻って来て鬱屈をたまらせており、中には破壊活動を開始するものまで出てくる始末。
そして、チート能力を持った帰還者同士の死闘が繰り広げられる。
その設定が面白いし、異世界ものの醍醐味と云えば、満たされない現実から圧倒的な力を授かって不思議で心踊る冒険の世界に迷いこんでしまうところだ。
だからこそ帰還者達の絶望間も理解が出来るし、それに立ち向かう人達だって似た悩みを抱えている。
巧みな描写で登場人物の心情が伝えられ、純粋に面白いと思えた。