第4話

前回迄のあらすじ


新たに現れたツンデレ美少女・・・彼女の名前は風谷 栞。

この間、屋上で櫻木さんとお昼を食べていた姿を見られてしまっていたらしく、恐らくそれが引き金で言い寄って来る様になったのだろう・・・

まぁ、言い寄る意味合いが少し違っている様にも思えるけど(汗)

バタバタしながら疲れてしまった俺に風谷さんは放課後公園へ呼び寄せた。

櫻木さんの事について・・・

その事で気になった俺は風谷さんの誘いを受けたんだけど・・・話は変な方向に発展してしまい!

俺の事が好きだった!?・・・

何故かツンデレの「デレ」ルートに突入してしまった風谷さん、以来デレモードで俺に接して来る様に!?

休日に俺は真木谷と遊びに行くつもりで誘われたから待ち合わせ場所へ辿り着いたのだが、そこには真木谷だけでは無く、あの人が!?

雫さん・・・どうしてだ!?どうやらダブルデートを企てていたらしく後1人が誰なのか分からなかった俺だったが、そこには風谷さんの姿が!?

何が何やら分からない俺だったがどうやら学校の休憩時間にメールでやり取りをしていた真木谷が風谷さんに何をしているのか見られてしまったらしく、風谷さんがダブルデートを提案したらしい。

雫さんは分かっていてそれを受け入れその様な事態に!?

こんな所櫻木さんの目に触れてしまっては!?・・・怯えながらもデートは進行して行き、昼食を摂る事になったのだが、その場所とは!?・・・

この間櫻木さんに連れて来られた喫茶店だった!!

恐る恐るあの日いた店長らしき人物がいないだろうか?不安になっていたら・・・

いない!!良かった・・・色々と不安な事が起こりそうだったその喫茶店では雫さんのからかいに付き合わされ、疲れ果てた状態であったが、無事に事を終え、デートも最終段階へ・・・

真木谷と雫さんはお決まりのホテルデート・・・?

俺は嫌な予感しかしなかった為、風谷さんを家へ送ると告げたのだが、風谷さんは既に雫さんから余計な知識を入れられていたらしく、突然、外だの室内だの、初めてだから・・・とか訳の分からない事を言い出す始末!これは行けない!危険だ!そう思った時、彼女がくしゃみをした!早く家に帰らないと風邪だったら大変だ!

俺は彼女を家に送るから帰ろう?と告げて彼女の自宅迄送り届ける事にした!

彼女の自宅へ到着した。すると・・・

「何だこの豪邸は!?」

思いきり叫んでしまいそうになりながら俺はその豪邸を見惚れてしまう。

風谷さん・・・君も財閥令嬢なのか?

月曜日、学校へ行ったら風谷さんはやはり風邪を引いていたらしく日曜日にゆっくり休んだおかげで無事に回復したみたいだった。

だが、櫻木さんに見られてしまっていた・・・

風谷さんがくしゃみをした事を知っていた!?

恐らく帰る直前にいた公園でだろう!・・・

半分は誤解だと言う事を告げようとしたのだが櫻木さんは感情的になってしまい教室から出て行ってしまった。彼女の横顔には涙が溢れ出していた。

俺は今、追い掛けないと二度と会えない・・・心から離れて行ってしまうのでは無いかと本能的に感じた為、直ぐに探し回る事にした。

チャイムがなり授業が始まった事もそっちのけで!

あらゆる思い当たる場所を探していた時ふと頭を過った場所があった。

そこへ急いで掛けつけ俺は彼女がいるかどうか確信が持てなかったけど経緯や本当の俺の想いや気持ちを告げた・・・するとそこには・・・

いてくれた・・・櫻木さんが・・・

デートの時の俺の心境や櫻木さんへの気持ちなどを伝えると彼女は分かってくれたみたいで、俺が何処を探したのか、どうして櫻木さんを見付け出したのかを尋ねる様に言って来たが実は櫻木さんが俺と2人きりでいた場所だった事を教えてくれたのだ!

そう言われてみると・・・どうしてだろう?無意識な部分はあったもののきっと俺の中に櫻木さんと過ごした時間が大切な時間である事を分からせてくれたのかもしれないとさえ思えて来た。

だが、翌日、お互いの気持ちが離れていない事を確認出来たけど次なる不穏な状態が迫っていたのだった・・・

榊川 咲真・・・学園一の美少年でお金持ちの彼が櫻木さんを訪ねて来たのだ!

彼は櫻木さんと話をしようとして言い寄っていたが櫻木さんは外に出ようと言い無理に教室から榊川と一緒に出て行ってしまった・・・











「榊川君?私に用事みたいだったけれど何かしら?」


「そんなに威嚇しなくても良いだろう?俺は君の事が気になっているから声を掛けているんだよ?」


「私は気にもならないわ?だからこれでお終いね?さようなら・・・」


「待てよっ!」


「きゃっ!!」




私は断りを告げ教室に戻ろうとした・・・すると榊川君は私の腕を掴み自分の方へ引き寄せた・・・




「ずっと、気になっていたんだ!父の参加していたパーティーで初めて君を見た日からずっと・・・」


「随分と強引なのね?それに一方的で冷たい感じさえするわ?」


「「女優」・・・確かにそんな感じだよ!ある時はツンデレを演じ、ある時は清楚系お嬢様、またある時はクラスに馴染んだ存在・・・一般的な女子・・・俺はそう言う色々な表情を持つ君が好きになってしまったよ!大切にするから俺と一緒に・・・」


「止めて!それ以上執拗に迫って来ると先生を呼ぶわよ!」


「・・・分かったよ。今日の所は諦める。でも俺の心はもう君から離れないから!絶対に君を振り向かせて見せる!」




怖い・・・やっぱり男の子・・・力ではかなわない。引き寄せられてしまった時恐怖心に体が一瞬動かなくなってしまっていた。でもそこで素を見せてしまってはダメだと思ったから何とか耐えた・・・怯えながらも表情には一切出さず私は教室へと戻った。






「櫻木さん!大丈夫だった?榊川に何かされたの?」


「うっ!!五月蠅いわねっ!あんたには関係無いって言ってるでしょ!?」




ごめんなさい、浩輔君・・・今は許して・・・私、それ以上あなたの優しさを感じてしまうと耐えられなくなる・・・演技が出来なくなってしまうの・・・今直ぐにでも素の私を彼に見せてしまいそうになってしまう・・・私はいつも通りツンケンと彼に接する事にした。

すると彼は・・・




「何だよっ!!心配だから声を掛けたんだろ!?どうしていつもそうツンケン言って来るんだよっ!!そんなに俺の事が嫌いならもういい!!」




あぁ・・・浩輔君が怒ってしまった・・・そう・・・だよね・・・誰だって心配で声を掛けているのに私の様な言われ方をしたら怒るのも無理は無い・・・ごめんなさい・・・浩輔君・・・






浩輔君が怒ってしまった日から約4日程が過ぎた・・・依然あの日の一件以来彼とは話を交わす事が無かった。

週末で休み前のお昼休憩の時、また榊川君が訪ねて来た。




「櫻木さんはいるかな?」


「おっ!榊川がまた来たぞ!?・・・これはそろそろ櫻木も堕ちるんじゃねぇのか?」


「ちょっと変な事言ってんじゃないわよっ!」




クラスの何名かが勝手な憶測でその様に述べていると・・・




「あっ!いたいた!・・・ちょっと屋上いいかな?」


「え・・・えぇ・・・分かったわ・・・」




私は出て行く時に浩輔君を見る。

浩輔君はシカトしていた・・・

そのまま教室を出て屋上へ辿り着いた。




「お昼なのにごめんね?今週最初の方の件なんだけど・・・俺、諦めないから!明日の休みなんだけど・・・もし君が良ければ、デートしないか?」


「どうして私があなたとデートしないといけないのかしら?」


「じゃぁさ、今回限りで良いよ!それでも君が今後俺と関わるのが嫌って言うのであれば俺は諦める。でも、もし明日のデートに少しでも満足してくれているのであれば考え直して欲しい!」


「・・・・・・・・」


「お願いだ!本気で俺は君の事を好きになってしまった。」


「・・・・・分かったわ。明日1日限りでデート・・・付き合ってみるわ!」


「ありがとう!・・・じゃぁ、10時に駅前の時計台の下に・・・いいかな?」


「えぇ!分かったわ(ペロリッ♪)」







翌日の朝9時45分

待ち合わせ場所の駅前時計台の下




「・・・・・・・・・・・」




15分程前に私は到着した。先に来ているかと思ったけれどまだみたいね・・・

浩輔君だったら恐らく・・・9時半には来てくれているでしょうね・・・

この時点で失格。

でも今日は乗る振りをしているだけだから一応付き合ってあげるつもりで私は待っている。

すると・・・




「ごめんごめん!!待たせちゃったみたいで・・・」


「いいえ、今来た所だから・・・それより行きましょう?」


「あぁ!・・・ごめん、これ・・・プレゼント!」


「えっ!?・・・何これ?・・・私に?」


「そう!似合うか分からないけどさ?開けてみて?」




これって確か・・・9時半にオープンする土・日限定でしか販売していないアイテムじゃ・・・

そうか、それでこの時間になったって訳か!なるほど・・・私の予想を越えているのね!




「じゃぁ、定番中の定番だけど・・・映画観に行こうか?」


「映画?・・・良いけれど・・・」




あまりよそよそしい態度も無く極めてナチュラル・・・やはり何人もの女子を堕として来ただけの事はあるわね!でも・・・




「この恋愛ストーリーって結構良さそうじゃない?櫻木さんは観たい映画ある?」


「そうね・・・私もこの恋愛ストーリーは観てみたいって思っていたの!良いんじゃない?」


「じゃぁ、決まりね!」




エスコートは完璧・・・まぁ、財閥ご子息だったらこれ位の振る舞い出来て当然だと思うけれど・・・




映画も終わり特に何もして来ない・・・




「主役の男の子、格好良かったよね!俺もああ言う感じになれたらな・・・」


「そうかしら?・・・まぁ、格好良かったのは確かだったけれど、その友人も地味に格好良く無かった?」


「あぁ!分かるよ!地味って言うのは確かだよ!あれって主人公を影から支えていたんだぜ!?本当堂々としていないのにあれだけの存在感!半端無いよ!!」


「そうだよね!私もそれは凄く思ったわ!」




話もナチュラル・・・確かに好感度は高いわね!堕ちる女の子の気持ちが見えて来たかも・・・




「じゃぁ、次は・・・昼食だね!・・・俺お洒落な店知ってるんだ!この近くだから行ってみようよ?」


「えぇ!エスコートお願いするわね!」




学生と言う立場、健全なお店に普通なら招待するはずだけれど・・・

連れて来られたお店は・・・




「この喫茶店、お洒落でしょ?俺時々来るんだ!」


「え・・・えぇ・・・そうね?少しお洒落かもしれないわね・・・」




どうしてよりにもよって家の店に来るのよ!!って言うか知っているの?この店が家の店だって言う事を!?




「いらっしゃいませ・・・・・2名様で宜しいでしょうか?」


「えぇ!2名でお願いします。」


「それでは空いているお席へどうぞ?」




ありがとう・・・空気を読んでくれているみたいね!後でお礼を言っておかないと・・・




「どうかな?俺、この店の雰囲気凄く好きなんだ!」


「そう・・・ね・・・あまり見掛けない感じの喫茶店ね!」


「メニューは・・・どれにする?俺はもう決まったよ!」


「うん・・・じゃぁ、私はこれで・・・」




何とか上手く家の店から出る事が出来た。

正直に言って疲れた・・・物凄く・・・




「櫻木さん?大丈夫?ちょっと休む?」


「え・・・いえ、大丈夫よ!?ごめんなさい、気にしないで?それより次は?」


「そうだな・・・ちょっとこの界隈を歩いてみようよ?あまり俺普段この辺りをゆっくりと歩く事が無いから!」


「そう・・・それも良いかもしれないわね!」




一先ず落ち着きを取り戻すと駅周辺を歩く事にした。




「櫻木さんって好きな人っているの?」


「えっ!?・・・私はいないわね・・・」


「そうか・・・だったら俺、櫻木さんの彼氏に立候補して良い?」


「そもそも私、彼氏とか欲しいって思っていないから!」


「どうして?恋人いると楽しいよ?櫻木さん程の美少女直ぐに男も堕ちるよ?」


「そう言う気持ちで異性とお付き合いするつもりは無いから!あなたはそう思っているのかもしれないけれど・・・」


「そうか・・・俺は軽い男だと思われているんだね・・・」


「色々と噂が立っているの分かってるでしょ?」


「ねぇ、俺がどれ程櫻木さんの事を想っているのか教えてあげようか?」


「えっ!?・・・ちょっ・・・止めて・・・」




そう言って榊川君はいつの間にか私をひと気の少ないビルとビルの間の壁の方へと連れて来られていた。




「ねぇ、俺はあの日初めて君に出会ってからずっと君の事だけを考えていたんだ!色々な噂を立てている奴らがいるけど、逆に俺は困っているんだ・・・俺は君だけしか見ていないって言うのに・・・」


「わ・・・分かったわ!それよりここじゃ少し冷えるからもう少し温かい所へ行きましょう?」


「俺が怖い?」


「えっ!?・・・別に怖い事は無いわ?」


「じゃぁ、もう少しこの界隈を歩こうよ?」


「えぇ・・・」




しばらく歩きながら榊川君と話をしていた時の事だった。

突然私が歩いている方から車が暴走して来たのだった・・・




「危ないっ!!」


「きゃぁぁぁ!!!」




一瞬の出来事だった!私の方へ暴走して来た車は私に目掛けて来たはずなのに榊川君が助けてくれたみたいだった・・・




「榊川君?榊川君!!榊川君~!!!!!!」


「だ・・・大丈夫・・・俺は・・・それより櫻木さんの方は?」


「私は大丈夫よ!あなたのおかげで!・・・それより怪我は?」


「あぁ、全く傷は無いよ!本当に横暴な奴らがいたもんだな!!」


「えぇ・・・警察に連絡を・・・」


「いや、二人とも無事だったんだし良いだろう!それより後少し君と2人きりでいたいな・・・」


「分かったわ!でも疲れたでしょ?何処か休める所に・・・」


「あぁ・・・そうだね・・・少し先迄歩こうか?」




そう言って私たちは駅とは真逆の方へ少し歩いて行く。でもそこは全く世界の違った街だった・・・




「怖い?」


「い・・・いいえ!・・・ただ、まだ足を踏み入れた事が無い世界だから私には・・・」




そう、ここってラブホテル街・・・私は勿論初めて訪れる世界・・・

勿論そう言った意味では怖いわよ!・・・




「あそこに入ろうか?」


「う・・・うん・・・」




こうして生まれて初めて私は愛するホテルへと足を運んでしまう




「何だか暗い所ね・・・」


「そうだね・・・俺も初めてだからよく分かっていなくて・・・」




緊張した面持ちで鍵を渡された部屋へと入る・・・




「シャワーが浴びられるみたいだしどう?」


「どうって?」


「浴びないの?」


「どうして?」


「折角なんだしさ?俺待ってるからさ?」




言われるがまま私は先にシャワーを浴びる事にした。そして着替えて戻ると今度は・・・




「じゃぁ、俺入って来るよ!」




榊川君もシャワーを浴びて来た。

出て来た後、ベッドの上で座りながらお互い話をした。

そろそろ良い頃合いかな?




「ねぇ?こんな所に男女2人きりでいるんだしさ?俺・・・」


「そうね?でも本当に私なんかでも良いのかしら?」


「えっ!?・・・元より俺は君の事を・・・」


「だってぇ・・・私、変態だもん♡一度喰らい付いたら離さないスッポンよりしぶとい存在♪ほらぁ♪あなたの今日一日の優しさを思い出しただけでも涙が滴り始めているのぉ♪」


「えっ!?・・・」


「どう?素敵でしょ?でも私、あなたの事を公平な目で見られないのぉ!」


「どう言う事かな?・・・」


「だってぇ!私~♪好きになった人はご主人様って呼んでお慕い申し上げないと気が済まないからぁ~♪」


「はははっ!・・・女優ね・・・あまりした事が無い演技だから上手く表現が出来ていないみたいだよ?」


「えぇ!?どうしてぇ?ご主人様に対してのぉ!」


「もういいよ?今迄見て来た君の演技のどれよりも酷い演技だったよ!」


「うっ・・・うぐぅ・・・」


「さて、茶番はこれでお終いだ!・・・ここに来たからには・・・」


「待って!」


「泣き寝入りかい?」


「いいえ、それは無いわ!私も変態を演じるのはもう、うんざりよ!」


「だったら素の君のままで良いよ!」


「そうね!私の素・・・ってあなたには見せた事無いわよね!」


「そうなの?だったら丁度良い機会だね!今から俺と君は1つになれるのだから先に本当の君を知っておきたいな!」


「それは一生無いわ!・・・ねぇ、さっき車に轢かれそうになった時に助けてくれたわよね?・・・いいえ、あれはあなたの芝居!演技よね?」


「えっ!?・・・それはどう言う意味だい?」


「私をここへ連れて来る口実・・・そして私があなたに命を助けられた事によって私があなたに恋い焦がれたり私を堕としやすくする流れをあなたのシナリオで演出した・・・」


「なっ!?・・・何を言い出すんだ!俺は本気で君の事を!!」


「そうよね!?だってそこで認めてしまうと私は二度とあなたの手には入らなくなるから!」


「くっ・・・だから何だってんだよ!もう誰もここへは来ないぞ?大人しく俺と交われ!!」


「嫌よ!どうして下衆のあなたなんかと・・・」


「ふんっ!知っているんだ!お前は同じクラスの中城 浩輔の事が好きなんだろ?」


「いいえ!あんなウジウジとした奴なんかの事私は好きでも何でも無いわ!!」




そう・・・今はそれがバレてしまう事は危険・・・意地でも私は隠し通さなければならない・・・必要最低限の人以外にはこの事を知られてしまってはいけないの・・・




「だったらどうしてあんなにツンケン接してんだよ!?お前の無い表情じゃないか!ツンケンしているけど微妙に表情が蕩けていたのを知っている!!」


「ふんっ!好意を寄せている相手でも無い相手にツンケンしていてどうして蕩けているのよ!?勘違いも甚だしいわね!?」


「そうか・・・あれは俺の見間違いだとでも言いたいのか!?・・・俺が今迄お前の笑顔の写真やツンとした表情・・・全ての顔を写真にして部屋に飾っているのに!!」




嘘でしょ!?・・・こいつ私のストーカーなの!?・・・そう思うと急に寒気と恐怖心が出て来てしまう。どうしよう・・・この後私どうやって榊川君から逃げれば・・・




「ほら、大人しく俺と交わろうぜ!・・・俺はこんなにも櫻木の事を想っているのに櫻木は俺の事もっと知って欲しいんだ!・・・ほら、体から・・・」


「いやぁぁぁぁ!!助けてぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!」




バタンッ!!!!!




「櫻木さん!!!!!!!!!!!無事なのか!!」




「えっ!?・・・中城・・・どうしてお前が!?」


「テメェ!!!!!櫻木さんに何しようとしてんだよ!!さっさとその美少女から離れろよぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」




ドカッ!!バキッ!!!!




「ん・・・・ってぇぇぇぇぇ!!!!!何て怪力なんだよ・・・お前は・・・うぐっ・・・」


「お前、上辺では女を堕とすどうの言ってるみたいだけど、最後に女の子を汚す最低なゴミ野郎だったんだな!!」


「ふんっ!お前、俺に何をしたのか分かってんのか?後で学校を退学させてやるからな!」


「あぁ!やってみろよ!だが、俺はもう一発お前を殴らなければ気が済まないんだ!ほら立てよ!」


「ひっ!・・・・分かった・・・それは無しにするから・・・だからもう殴るのは・・・止めてくれないか?・・・」


「うるせぇんだよ!さっきのは櫻木さんに対して汚そうとした報いだ!そしてこれは・・・俺の彼女を奪おうとした罰だっ!!!!!」




ドカッ!!!!




「うっがぁぁぁぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




ガタンッ・・・ガクンッ!!




「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・あれ?俺どうしてたんだっけ?」


「浩輔君・・・ありがとう・・・本当に・・・」




櫻木さんが俺を抱き締めて来てお礼をその後も何度も口に出していた・・・

でも俺は櫻木さんを助けないといけないと無我夢中だったからよく覚えていない・・・

ただ、目の前で伸びていた榊川の姿がそこにはあった・・・

駅前にブラブラと1人で出掛けていた所に櫻木さんと榊川が一緒に歩いているのを見掛けて本能的に後をつけて来てしまったが、まさかこんな所に来るとはとショックを隠し切れず入るのを見ていたけど櫻木さんが不安そうな横顔をしていて何か助けを求めている様に見えたから隠れながらここへ何とかやって来たけど、叫び声が聴こえたから急いでドアを突き破ったのだろうか?確かにドアも壊れているな・・・俺、何しでかしてしまったんだ!?

そう言う一件があり、愛するホテルの管理人さんに事情を説明して警察を呼んでもらい、櫻木さんのフォローもあり、俺は何も無く事を終えた。そして榊川は逮捕されたのだった・・・

後日櫻木さんも事情聴取があるだろう・・・そして俺も・・・






帰り道・・・




「浩輔君?・・・さっきの事本当に覚えていないの?」


「えっ!?・・・うっ、うん!櫻木さんたちが歩いているのを駅周辺で見掛けてついて行ったんだ・・・どうしてなのか、ついて行かなきゃいけない気がして・・・それで愛するホテルに入る時に櫻木さんの横顔が見えて、凄くソワソワしながらも助けを求めている様に見えたから誰にも気付かれない様に入って扉の近くで様子を伺っていたんだ・・・するとしばらくして櫻木さんの悲鳴が聴こえたんだ!その後の記憶が無くて・・・」


「ふふふ♪・・・また助けられちゃったね♪」


「えっ!?・・・また?・・・ってどう言う事?」


「さぁて?どう言う事かな?ふふふ♪」




♡チュッ♡




「えっ!?・・・突然どうして?キ・・・キス!?・・・」


「お礼よ?今はこれで許してね?記憶が全て戻った時にもっと素敵なお礼をプレゼントするから♡」


「う・・・うん・・・それは良いんだけど・・・もう大丈夫なの?」


「うん♪・・・だって浩輔君が助けに来てくれたんだもん!それだけで私は・・・凄く嬉しかった・・・それに、凄く強くて・・・逞しかった・・・あんっ♡私興奮しちゃうぅ!!今度は無理矢理私を押し倒して・・・と言うプレイも素敵かも♡」


「結局そっちへ話を結び付けちゃうんだね?・・・」




でも俺は何故かその変態染みたセリフを言っている時の櫻木さんが楽しそうに見えてしまう・・・これは演技なのだろうか?それとも本心からなのだろうか?

色々と疑問はあるものの無事にその日は家路へと辿り着くのだった・・・




浩輔自宅にて・・・




「榊川は無事に逮捕されて今回の一件は無事に解決した・・・でも俺の記憶は依然として何も戻っていない・・・櫻木さん、「また」助けてくれたと言っていたけど俺櫻木さんを助けた記憶が無いよな・・・もしかすると記憶が無い所で助けたりしたのだろうか?」




考える事が多過ぎて俺は少し混乱していた。

でも、今日櫻木さんの悲鳴が聴こえた瞬間俺は無意識になってしまっていたのも事実。

きっと櫻木さんの悲しむ事に対して過去に何かあったのかもしれない・・・

急いでも仕方が無い・・・ここは時間が経つ事と何かしらの切っ掛けがあるだろうと信じて進んで行く事にしよう・・・






櫻木家、琴音の部屋にて・・・電話中




「あら!?浩輔君が助け出しに来てくれたの?凄いじゃない!それで?彼の記憶の方はどうなったの?」


「うん・・・記憶の方は依然変化が無い様に見えるけれど、雫が言っていた通り、無意識の間に変化が訪れている気がするの・・・今日は私の悲鳴が聴こえてから扉を壊して迄私を助けに来てくれたけれど、その間の記憶が全く無い状態だった・・・きっと過去の事と似ている展開だったからだろうと思うの・・・」


「そうね・・・それは考えられるわね!・・・でもいつも言っている様に・・・」


「急がば回れ・・・だよね!?分かってる。浩輔君には一刻も早く元に戻って欲しい・・・でもそれによって浩輔君に危険が生じてしまっては元も子もないから・・・」


「辛いでしょうけれど、ここは我慢よ!彼も恐らくもうあなたの事に執心し掛けている状態だと思うわ!だから彼の事を・・・今度はあなたが助けてあげないといけないわね!」


「うん!頑張るよ!・・・いつもアドバイスありがとう、雫も真木谷君と上手く行ってるのかな?」


「えぇ!彼も良い子ね!・・・でも浩輔君には及ばないかもしれないけれどね・・・」


「人に対しての感情って人それぞれだからね・・・じゃぁね!」


「えぇ!また何かあったら遠慮無く連絡頂戴?じゃぁ!」






休み明けの学校にて・・・




「そうなの・・・そんな事が!?・・・でも榊川君は捕まったのよね!?だったら親御さんが大変でしょうね・・・親の顔を汚した訳だし・・・」


「うん・・・でも櫻木さんに手を掛けて汚そうとした訳だから当然の報いだよ!」


「と言っていたらヒロインのおでましだぞ?頑張れ浩輔?」


「何を頑張るんだよ!!俺、又・・・」


「中城・・・おはよう!」


「おはよう・・・今日もツンデレさが身に染み・・・無い?あれ?どうして?」


「五月蠅いわねっ!調子崩しちゃうのよ!!いつもみたいに鼻の下デレ~っと伸ばしてなさいよ!!そうしないと私も突っかかれないでしょ!?」


「あぁ・・・そうだね・・・確かに・・・って誰に?」


「風谷さんでもいいんじゃないのっ!?・・・私にそんな事聞かないでよ!!気があるとか勘違いされるでしょ!?」


「そうか・・・うん・・・風谷さん綺麗だもんね!デレだし・・・もう・・・」


「あっ!!本当に鼻の下が伸びたっ!!本当あんたって最低っ!!もう知らないっ!!」


「どっちなんだよ!?・・・鼻の下伸ばせとか伸ばすと最低だとか俺はどうすれば正解なんだよっ!?」


「私がそんな事知る訳ないでしょっ!!」




いつもより突っかかって来るけど、どうも調子が狂うと言うか・・・ツンケンしているはずなのに何処か嬉しそうって言うか・・・顔が・・・顔が・・・アヘってるよ?櫻木さん?その表情俺以外の人には見せないでね?お願いだから?




「櫻木さん?話はお伺いしましたが、大丈夫でしたか?」


「えっ!?・・・えぇ・・・そこにいる鼻の下伸ばし過ぎた生物が助けに来てくれたから・・・」




えぇぇぇ~っ!?助けてくれた人に対して言うセリフなのそれ!?・・・

まぁ、助ける所は意識が無かったから厳密に言うと俺が実際に助け出したのかどうか不透明なんだけどね?・・・




「櫻木ってさ?既にツンデレの域通り過ぎてS女になってんじゃないか?」


「S女っ!?・・・私が?・・・ちょっとそれ失礼でしょ!?私がS女なんて・・・私は・・・どちらかと言うと・・・M・・・いいえ!ドMなのに・・・」


「えっ!?・・・何か言ったか?櫻木?」




ダメだ!真木谷、あまりその話題には触れないであげてくれぇぇぇ!!!本性を現してしまいそうになっているから・・・




「まぁ、今回の一件は浩輔君のヒーロー的活躍による成果と言った所の様ですね・・・私も浩輔君が大活躍している姿実際に目にしてみたかったです・・・」


「いや・・・尾行していざと言う時に記憶が無いから決して人様にお見せ出来るものでは無かったのでは無いかと・・・」


「五月蠅いわねっ!!その話題で持ちきりにするつもり?あんたは褒めてくれてるんだから素直に喜べば良いのよっ!!その・・・あ・・・ありがと・・・」


「えっ!?・・・」


「何聞いていない振りしているのよっ!!もう言わないっ!!」


「えぇっ!?・・・もう一度だけ言って欲しいな・・・最後の4文字か5文字の部分・・・よく聴き取れなかったから・・・あ・・・あり?・・・」


「もういいっ!!言わないって言ってるでしょ!?」




「ありがと」・・・その言葉も嬉しかったけど・・・

悦びじゃなくてちゃんと「喜び」と誤字じゃない!!それが嬉しかった・・・




「↑何変な所で喜んでるのよっ!この変態っ!!」


「えぇぇぇっ!?・・・・俺の心のセリフにツッコミ入れるのぉぉ!?」


「いいでしょ!?ついでなんだからっ!!」




ついで?・・・意味不明な言い訳でツッコミを入れられたけどまぁいいや!櫻木さんもいつもの様に元気になってくれたみたいだし、俺は引き続き過去の断片的に消えている記憶を取り戻そう・・・




昼休み・・・




「中城?・・・その・・・ちょっといい?」




恥ずかしそうに櫻木さんが俺を誘って来た。屋上に行きたいらしい・・・




「どうしたの?櫻木さん?」


「あの・・・ね?・・・私、疼いて来ちゃったの・・・」




何~!?・・・疼くって何処が?・・・いやっ!ここは聞かない振りをして・・・




「あっ!俺、真木谷と食堂へ行く約束してたんだったぁ・・・じゃっ!じゃぁね!櫻木・・・」


「待って・・・」




切なそうに腕にしがみついて逃げられない様にロックオン!?・・・俺?ここで何されちゃうんだろう?




「真木谷君は今日は1人だって言ってたよ?」




バレてる~!?・・・真木谷も気を遣ってもらいたいものだな!!・・・ってこう言う展開になるとは流石の真木谷でも分からないだろうな・・・俺でさえも全く読めない展開だったし・・・




「流石に学校では・・・その・・・アレだから・・・今日の放課後・・・私の家に遊びに・・・来ない?・・・かな?・・・」


「えっ!?・・・今日!?・・・わっ・・・分かったよ・・・行くよ・・・でも、変な流れになると帰るよ?」


「うん♪・・・ありがとう、浩輔君!!」




何だろう・・・少し妙な感覚があるんだけど・・・櫻木さん、ここの所俺と2人きりになると表情が凄く柔らかくなっているんだよな・・・うん・・・そう!・・・柔らかい・・・柔らかい以上に柔らかい・・・ってそれアヘ顔だから!!ダメだって!!そんな学園一の美少女がアヘ顔晒すなんて!!!

そのままお昼は櫻木さんがまたもやお弁当を作って来てくれていたみたいでそれを一緒に食べる為と、放課後自宅に来て欲しいと言う2つの理由で俺を誘ったみたいだ・・・




「それにしても今日も豪華なお弁当だね・・・いつも櫻木さんが作ってるの?」


「うん♪・・・お手伝いさんも作ってくれる時があるけれど、大体の食事は私が作ってるの!それより・・・その卵焼きどうかな?・・・」


「どれどれ?・・・うんっ!!美味しいよ!!これ凄いな・・・少しなめらかな感じであまり食べた事が無い様な舌触りで!こんな美味しい卵焼き食べたの正直言って初めてかもしれないよっ!!」


「本当に♡・・・嬉しいな♪・・・えへへ・・・えへ・・・でへへへへ♡」


「あれ?・・・ちょっとこの状況でその展開は・・・俺は知らない!?」




何だ!?・・・いつもこの時点でアヘ顔晒す事なんて無かったのに!?何だろう?この憎悪感は・・・マジ半端無い・・・




「あのぉ~・・・?櫻木さん?・・・もしかしてなんだけどね?・・・いや、まさか櫻木さんに限ってそんな事・・・絶対にしないとは思うんだけど・・・この間の喫茶店での事件の事もある事だし・・・本当に恐縮してしまうんだけど・・・覚悟を決めて聞くよ?・・・この卵焼き何か入ってる?」


「あ~ん♡・・・流石は浩輔様♡・・・はい・・・この卵焼きには隠し味が施されています♪・・・あぁ~・・・私の・・・私の・・・愛の結晶が・・・この卵焼きの中に・・・」


「教室に戻らせてもらいます・・・」




トコトコトコトコ・・・・・ガチャガチャ・・・ガチャガチャ?




「あれ?扉が開かない?・・・鍵が掛けられてる!?・・・どう言う事ぉ~!?」


「前回、風谷さんが覗かれていらしたので今回は最新鋭のセキュリティーに特化した扉と扉の中には防犯カメラ、警報機を設置させて頂きました♡」




防犯カメラ、警報機を設置させて頂きました♡・・・じゃねぇっ!!一体何勝手に改造してるんだ!!これ先生にバレたらとんでも無い事になるぞ!?




「大丈夫です!先生たちは常識改革を施し何事も無かったかの様に仕向けていますので♪」




嘘でしょぉぉぉ!!!!常識改革って何したの!?櫻木さん!!犯罪に手を染めるとかダメでしょぉぉぉ!!!!!!!!!




「えぇ・・・少し横暴かとは存じ上げましたが、先生方へ私のお店の珈琲をご用意させて頂きまして・・・そ♡れ♡で♪」




ん?・・・この流れ・・・確かこの前にも似た展開があった?・・・あった!!あれか!?また怪しい何かは言えないけどアレを入れて!?・・・やっぱりアレには相手の脳に何かをする働きが!?・・・この子恐ろしい!!ダメだ・・・これは逃げなければ・・・

ってあれ?さっきから俺、喋っていないよな?・・・何で櫻木さんは応答しているんだ?また俺の心の中を読んでいるのか!?




「はい♡浩輔様の考えている事が手に取る様に伝わって参りますので・・・ご主人様の考えていらっしゃる事は奴隷としてはいち早くキャッチし、対応に務める事こそ主従関係が成立する訳です!ですので今卵焼きを召し上がられた浩輔様はそろそろトランス状態に・・・ってふふふ♪まさかそんな事ある訳ありませんよね!扉の鍵はこの間の一件がありましたので先生にお願いしてお昼休みだけおかりしただけです!防犯カメラは勿論ありません。この間ベンチがあったのが少し扉に近い位置でしたが移動させて扉から離れていますので扉を閉めた状態だと話声もそう聴こえる事はございません。」


「はは・・・そうだよね・・・まさか今の一連の流れからして不自然な事だらけだもんね・・・良かった・・・本当に・・・あれ?でも、もう一つ重要な事があるはずだっけ?・・・」




あれ?何か大切な部分が飛んでいる様な?




「いいえ!これで全ての疑問にお答え致しましたわ!さぁ、残りのお弁当・・・召し上がれ♡」


「う・・・うん・・・何だか腑に落ちないけど頂くよ!」




(ニヤリ♡)




「いやいやいや!!卵焼きの事だよ!!隠し味ってまさか!?」


「あ~あぁ・・・気付かれちゃいましたか・・・そうですね・・・隠し味は隠し味ですね・・・それ以上はお答え出来かねますが・・・」


「いや!!この間の喫茶店の一件もあるから・・・」


「うふふっ♪・・・ご心配には及びません。その様な如何わしいものなど入れるはず無いじゃないですか!いくら私でもそこ迄変態染みた事など・・・事など・・・」




ダメだぁぁぁ~!!ここの所アヘ顔晒す率が高くなってるぅぅぅ!!!

絶対これ食べちゃいけないモノが入っているよ!!うん!今のこの顔で確信に変わった!!




「もう~♡釣れないですねぇ~・・・普通に調味料ですわ?ご主人様に私の体液など摂取させられる訳が無いでしょう?・・・でも・・・ご主人様がお望みとあれば私はいつでも・・・」


「い・・・いや!!そうだよね・・・あはは~!!俺とした事が・・・ごめん・・・でも望みと言う事は一切ないから安心して?うん!この先も絶対に無いと思うよ!」




もう何も考えない!!今考えている事ですら読み取られているはず・・・大丈夫だよ・・・な?




「どうかなさいましたか?表情が硬くなられておいでですが?」


「う・・・うん!何でも無いよ・・・あはは・・・うん!このタコさんウインナーもお弁当の定番中の定番だけどやっぱり櫻木さんの料理は格別だよ!!」


「そうですか・・・うふふ♪本当に美味しそうに召し上がられて・・・私も作った甲斐がありましたわ♡」




昼休みは何とか・・・何とか無事に事を終えた・・・そして魔の・・・いや、何が「魔」だって言うとですね?・・・確かに俺は櫻木さんにタジタジになっていたのですがあの歌の一件以来櫻木さんの事が気になり始めて・・・良いイメージで見られる様にようやく変わって来たのは間違い無い!!間違い無いのです・・・ですが・・・今日は平日だと言うのに櫻木さんの家に招待されてしまった・・・それに昼間一言気に掛かったセリフがあった・・・




「疼いて♡」




そう・・・「疼いて♡」だ!!一体何処が疼いているのかをこの後とことん教え込まれてしまいそうな嫌な予感が・・・




「ってどうしてっ!!!!!!!!!」


(耳打ち)「何驚かれていらっしゃるのですか?そう言うお顔をされていらっしゃいましたよ?私のどこが疼いているのかをこの後みっちり・・・ねっとり・・・いやらし~く教えて差し上げますわ?」


(耳打ち)「いや・・・それだけは遠慮させて頂きたい・・・実に歳の方十代中ごろ・・・拙者もまだ稚拙な上その様な大人びた事など興味たりともございません。」


(耳打ち)「ですが殿?顔の表面上では硬く引き締まったご様子ではありますが、心の方は既にトロトロの蕩けきった状態にて私めが殿の初めてのお相手を全うさせて頂きたく馳せ参じたまでで・・・」




や~め~て~!!!そんな事の為に自分の大切なモノを捧げないでぇぇぇ!!!!!




「中城?何アヘ顔晒してんのよ!気持ち悪いっ!変態中の変態じゃない!!」


「なっ!!何だよ・・・振って来たのそっちだろ!?」


「何か言った?・・・あんたね!最近顔が緩み切っているから説教してやるからこの後家に来なさいよ!!」


「わっ!!分かったよ・・・このまま断ってもどうせ強制連行させられるのは見え見えだから!!」




そうだ・・・いつもこうして櫻木さんはツンケンしながら俺を家へ招待したり突っかかる振りをして実は俺と接触したいと思ってくれていたんだよな・・・そう思うと結構可愛い所があるんだなとも思えて来る・・・そして例のごとく彼女の家に向かったのである。






櫻木家・・・




「さぁ、浩輔様♪お入りになって下さいませ!」


「う・・・うん・・・相変わらず緊張感が半端無いけど・・・お邪魔・・・します・・・」


「いらっしゃいませ!中城様・・・どうぞごゆっくりお過ごし下さいませ!!」




と1人のメイドさんが言ったセリフだろうと思うのでしょうが・・・違うよね!

うん・・・何名いるのか数えます・・・うん!20名程おりました!!おりましたとも!!レッドカーペットが敷かれてあり、この間は眠らされて運ばれて来た経緯があってちゃんと入って来た記憶が無いけど、完全に大金持ちの家だと言う事はこの光景だけではっきり、明確に分かる!!間違い無く!!間違い無く!!俺がいるべき場所じゃないって事も!!




「さぁ、浩輔様?私のお部屋へご案内致しますわ?」


「う・・・うん・・・ありがとう、本当に・・・緊張するよ!!無駄に・・・」




案内された櫻木さんの部屋・・・うん!やっぱりご令嬢の部屋だと言う感じで広くて・・・綺麗で・・・可愛らしいグッズ、ぬいぐるみなんかも所々に置いてある・・・あれ?何だろう?例のお姫様ベッドの所に枕が2つある?・・・前回来た時には確か無かった様な気が・・・まぁ気のせいだろう!うん!何も考えるな俺!!




「どうかなさいましたか?少しお顔のお色が悪い様に思われますが・・・?」


「い・・・いいや!大丈夫!!櫻木さんの家ってやっぱり凄いんだなって思って!!」


「そうでしょうか?・・・ですがいづれは浩輔様もこちらに住む事となるのですから、時期に慣れますわ♪」


「えっ!?・・・いづれはって・・・俺・・・」


「そうですわね・・・記憶がまだお戻りで無いですから・・・時期に約束の件も思い出されるでしょうし・・・先ずは記憶を戻す所からですわね!」


「あっ!・・・そうだった・・・俺、記憶が・・・」




記憶の事についても・・・約束って言ってたけど何か俺、過去に櫻木さんと約束をしていたのだろうか?・・・それにしても何だか良い匂いだな・・・アロマかな?・・・こう・・・懐かしい香りと言うか・・・でもこれって誰かの香りだった様な気もする・・・




「ん?・・・あれ?俺寝てた?」




気が付くと俺はまた櫻木さんの膝枕で眠っていたみたいだった・・・そうか・・・あの香りは櫻木さんの・・・だったのか・・・




「とても幸せそうな寝顔でした・・・何だか懐かしそうに少し涙を浮かべて・・・でも笑顔で・・・私も懐かしく感じました♪」


「あぁ・・・ごめん・・・俺また眠っちゃってたみたいだね・・・あの・・・櫻木さんのこの香りって・・・?」


「えぇ・・・香水・・・あまり香りの強いものは好まないので柔軟剤程度のほのかに香りが漂う香水を昔からつけておりました・・・形見に近いもの・・・になりますが・・・」


「そうか・・・とても心地良くて・・・安らぐような香りだったから・・・懐かしい感じがしたんだ・・・」


「そう・・・ですか・・・それは良かったです。お嫌で無ければこのままもう少し横になられますか?」


「うん・・・櫻木さんが苦痛じゃなければ・・・」




そうしてもう少し俺は櫻木さんの膝枕に甘えた・・・




「zzz・・・zzz」




「♪~~~」




「zzz・・・zzz」






(わたしをたすけてくれたこうすけくん♡・・・きょうはおうちにとまってね♪)


(うん、でもことねちゃんのおうちはおおきいんだね・・・)


(そうかな?・・・ここがわたしのおへやだよ?)


(うわぁぁ・・・まんなかにえいがでみたようなおおきなおひめさまベッドがあるね・・・すごいすごい!!)


(ちょっとすわってみる?)


(いいの?)


(もちろんだよ♪)




(わぁぁぁ、ふかふかできもちいいね・・・これならすぐにねむれるね・・・う・・・ボクなんだかねむく・・・)




(♪~~~)


(ん・・・あれ?何だろう?すごくきれいなうたが・・・あれ?ボクねむっちゃってたの?ごめんね、ことねちゃん・・・せっかくおうちにしょうたいしてくれたのに・・・ボクねむってしまったみたいだよ・・・えっ!?・・・ボクことねちゃんのおひざのうえに・・・?)


(きもちよさそうにねむっていたからひざまくらしたらもっとしあわせそうなおかおだったよ♡こうすけくんかわいかった♪)


(はずかしいよ・・・でも・・・すごくきもちがよかった・・・それに、ことねちゃんはうたがおじょうずだね・・・きれいなおこえできいていてしあわせなきがした・・・)


(そうかな?・・・これはね?かたみのおうたなの・・・ママからの・・・たいせつなおうたなの・・・)


(そうか・・・ことねちゃんのママは・・・)


(たいせつなひとにうたってあげなさいっていわれたからうたったの♪)


(ことねちゃんはやさしいね・・・きっとことねちゃんのママもとてもやさしいひとだったんだろうな・・・)


(うん・・・みんなにやさしくてみんなからそんけいされるようなママだったの・・・)


(ことねちゃんのママは・・・なにをしていたの?)


(じょゆう・・・っていってたよ・・・テレビやぶたいとかやってたって・・・)


(そうか・・・きっとみんながあこがれるスターだよ・・・)


(うん♪・・・わたしもママみたいなじょゆうになるのがゆめなの・・・)


(なれるよ!ことねちゃんならぜったいに!!)


(そうかな?・・・でもこうすけくんがいってくれるならわたしもがんばってみるね・・・じょゆう・・・はやくおとなになってゆうめいじんにならなくちゃ・・・)






「zzz・・・zzz」


「浩輔君・・・覚えているかな?今、君はどんな夢を見ているのかな?私、女優になるから!あの日、あの時、ここでお話した・・・浩輔君が励ましてくれて、今日の今日まで私、忘れずにその事だけを糧にして頑張って来たんだよ?・・・だから・・・もう少し・・・見ていてくれるかな?」




20時30分・・・




「・・・はっ!!・・・俺また眠っていた・・・ってもう夜!?・・・ごめん、琴音ちゃん俺、又眠っていたみたいで・・・」


「ううん・・・とても心地良さそうな表情をしていたから私も起こせなくなっちゃって・・・ごめんね?」


「明日も学校だから今日は・・・」


「うん♪・・・平日なのに呼び寄せてしまってごめんね?また明日学校で会おう?送って行くけど?」


「いや!大丈夫!!本当に心地良くて・・・どこか・・・懐かしくて・・・ありがとう!今度呼んでくれた時は眠らない様にするから!!じゃぁ・・・」


「気を付けて帰ってね?」




私はその直後、涙が溢れていた・・・悲しいからじゃなかった・・・

浩輔君の記憶が戻りつつある事を確信したからだ・・・

「琴音ちゃん」か・・・何年ぶりだろう?下の名前で呼ばれたのって・・・

素の私の口調で話を掛けていたのに違和感すら感じず帰って行った・・・

きっと浩輔君も私が考えていた所とリンクした夢を見ていたのかもしれない・・・

もう少し・・・頑張ってみようかな♪






















第4話 榊川の策略・・・狙われた琴音!その時浩輔は!?・・・「女優」と言うキーワードの本当の意味とは!? Finish

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