かぼちゃランタン
空付 碧
大学なんて、お祭りでできている。
「この季節がやってまいりました!!」
毎月同じ言葉を繰り返す、イベント大好き男は目を輝かせていた。10人いる研究室のメンバーは、なんだかんだ言いながら、この男の発言に乗っかるのが定番である。
「なんの季節って?収穫祭?」
「ちがーう!!」
「どうせハロウィンでしょ」
「どうせなんて言うな!!西洋のお盆だぞ!!」
男は「trick or treat !!」と叫んだ。
「落ち着けって。周りに聞こえるだろ」
「いやもううちの研究室がお祭り出できてるって知ってるでしょ」
「今回は何すんの」
「どうせ仮装でしょ」
「お前ら、俺のセリフかっさらって行くなよ……」
落ち込みを見せたが、男は天を指さす。
「仮装して練り歩くのもいいが、ここは田舎だ!!大したことは起きない!!」
「起きちゃ問題だわ」
「馬鹿だと思われる」
「いや、うちは馬鹿だよ」
「聞けっての!!」
それぞれ、仕方なく主催者をみる。
「それに、お菓子を強請る、トリックオアトリートもしたい」
「いつも持ち込んでるけど」
「ハロウィンならでは、でだ!!ハロウィンぽいお菓子を持ち込むんだよ!!それで、仮装した状態で、お菓子を交換しながら大宴会だ」
「酒はダメだと思いまーす」
「採用!!」
「採用って、言葉がおかしい」
そうなれば、もう一体になる。各面子で、どういう仮装にするか、お菓子は手作りか、部屋をどう飾るか、盛り上がるのだ。
「なぁ、お前本格派でいく?」
主催者が勢いよく隣に座った。
「俺は軽めで行くわ」
「そうだよな!!お前凝り性だから、碌なもんにならねぇもん」
大口で笑う友人を、肘で強く押した。
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