デザイナーベイビー

Len

デザイナーベイビー

「デザイナーベイビー」

カケル:父親はどこかの著名な博士、容姿端麗な少年

テル:風変わりな服装やしぐさをする青年


人間は今まで植物や動物の遺伝子組み換えを繰り返し、その時代にあった強い新種を求めた。

身近なもので言えば、家畜やペットを見れば分かるだろう。

とくに猫や犬の遺伝子組み換えは、人にとって好ましい性格や容姿を作り、愛される存在になった。

自分にとって従順で、賢く、容姿も理想的。

その思いは、自分自身が生み出す子供へも繋がって行った。


元々昔から「子孫繁栄」「トンビが鷹を産む」なんて言葉がある。

ただそれが具体化しただけ。

僕はデザインされて生まれた子供だ。


カケル「母さん、学校に行ってきます。」


母「あら、そんな時間?相変わらず真面目ね、カケルは。」


カケル「高校を1年で飛び級して、大学に入れたからってのんびりしてると、周りにすぐ追い越されるから。」


母「でも、医学部で最年少なんでしょ?」


カケル「まだ僕みたいな人間は少ないからね、数学者と医学者2つのすぐれた遺伝子を元々もった人間は。」

「でも...」


母「何か気になるの?」


カケル「学部は違うんだけど、クローンの子がいるんだ。彼は素性をあかさないけど、アーティストのクローンなんだ。」


母「クローンなんてコピーでしょ?何度も繰り返せば、薄れていく、劣化していくのよ。その分、カケルは劣化なんてしないんだから。」


カケル「うん...あ、もう時間だ、行ってきます。」


母さんはわかっていない。

僕は知能も容姿も全てデザインされた。

多分、従順な性格もだ。

ただデザイン出来ない事がある。

ひらめきや独特な発想、人と違う「独創性」


テル「やぁ、おはようカケル君。君も今から学校?せっかくのいい天気なんだ、オープンテラスでお茶でもしよう!」


彼がクローンのテル、元の人物や名前は誰なんだろう。相変わらず妙な服装だ。


カケル「僕は...今から講義があるから。」


テル「君はその年で大学にも入って、ここでも1年飛び級確定なのに、まだ急ぐの?」


カケル「そう...デザインされてる...。」


テル「なら俺のマネをすればいい。ほら、あの可愛い女の子に声をかけてみよう!」


カケル「ダメだよ!そんな失礼なこと..。」


テル「...そうか、母親に(そうデザイン)されたのか。まぁいい、気が向いたら俺に声かけてよ。(遊ぶ事)を教えてあげるよ。」


彼はそう言って、学校とは違う方へ姿を消した。


僕は知能も容姿も全て優れている。

従順で、人に失礼なこともしない。


彼のように講義中にらくがきをして、怒られたりもしない。

でも

彼のように、そのらくがきで教授や周りのみんなを笑わすことも出来ない。


僕は...優れているはずなんだ。


そう

「気が向いたら」

「気が向いたら、彼に声をかける」事が出来ない程、デザインされている。




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デザイナーベイビー Len @norasino

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