第74話ーークソ忍者による腹話術?
遂に100階層までやって来て、ただ今休憩中です。
95階層から99階層までは、それまでにプラスして所々に沼や川があり水属性のモンスターも這い出してきて一緒に襲って来たり、トラップがより見つけにくくなっていて先行する分身が幾度となく消され、より魔力消費が激しかった……まぁその分先輩と触れ合う時間が増えたので、それはそれでよかったんだけどね。
ずっと必死に戦闘を続けていた時は気にならなかったけど、そういえば東さんたちや先輩のパーティーの3人は大丈夫なのかと思い出した。
「東たちの中に入って来るだろう、ジジイも近松もいるから大丈夫だ」
俺たちの1時間後出発だから、粗方モンスターを殲滅し続けている俺たち2人と違ってサクサク来れるはずなのに、未だ先輩が気配察知も出来ないほど距離が離れているのが理解出来ないんだよね。
だから今回の探索でちょっと東さんたちの実力に疑問が湧き始めていたりもする。
「師匠、東さんたちって強いんですか?」
「くくっ……今更か。まぁそれなりに強いぞ、それなりにな」
クソ忍者のそれなりという事は結構強いという事だよね。いかんいかん、盾職の人に勝ったとか、ここまで順調に来ているから慢心しつつあったようだ。気を引き締めなければ!
「俺たちも頑張りましょうね」
「……うん」
先輩は今、地に降り立った大鷲の上でトラに囲まれてヨダレを垂らさんばかりのだらしない表情を見せている。俺とクソ忍者の会話も多分ほとんど頭に入ってないだろう……
でもそれでいい!
このまま俺の召喚獣もふもふ天国にハマってくれればいいんだ!!
ここまで階段でずっと先輩がもふもふに蕩ける姿だけをぼーっと見続けてきたわけじゃない、ちゃんと会話も交わしてる。
それでわかった事は、まずこれまで彼氏がいた事も今もいないという事だ。現在の事は知っていたけれど、過去の事はなかなかね……SNSでは時折『俺は〇〇歳の時の〇月に付き合っていた』って名乗りを上げるアホが後を絶たないのだ。それは告白管理委員会やら色んな所から否定の言葉が入るが、数が多すぎるのとリアリティーがある内容を書くヤツまでいてイマイチ確信が持てなかったんだよね。まぁ中には、0歳児の時に付き合ってたとか、保育器が隣で目と目で愛を交わしてたとかむちゃくちゃな物も多いんだけどね。
ただ今好きな人とか気になっている人がどうかは、曖昧に笑って「どうだろうね〜」っとはぐらかされた。いないという答えじゃないところが……気になる!!
それでは好みの男性像はというと、「優しくて、一途な人」の2つ重要で、顔とか年齢は関係ないらしい。これは朗報だ……完全に該当しているしね。
次にもふもふ好きの事だが、自宅ではお母さん……いや未来のお義母さんが動物とかの毛のアレルギーで飼えないらしい。小さい頃は友人の家などで可愛がっていたが、服に毛が付着したまま帰る事になるために、それで鼻水やくしゃみが止まらなくて苦しんでいる事に気がついてからは、それも自粛していたようだ。だけど俺の召喚獣は魔力で出来ているために毛も何も落ちない事に気が付いたらしく、最高の存在とめちゃくちゃ嬉しそうだった。
もうね、つい言っちゃったよ「今僕と付き合えばトラと大鷲がもれなく付いてきます」ってね。答えは「ふふふ……考えとく」だった。つまりは保留、NOじゃない事に希望を持って生きていきたい。
パーティーメンバーをどう決めたかも気になっていたので聞いたところ、秋田さんは同級生で友人、金山さんは昔からの友達、田中さんはステータスチェック後の2日目のダンジョン探索中に知り合って仲良くなったそうだ。
まぁ聞き出せたのはこの辺かな。
これも全て一気にってわけじゃない、階段でのちょい休憩毎に途切れ途切れ聞き出したのだ。ちょっと長めに話そうとすると、直ぐに小石が飛んでくるからね……チックソ忍者め。
でもでも……なんとLINEのID交換が出来たのです!!
最初普通にお願いしたん時は、金山さんに怒られるとかなんだとか言われて軽〜く断られたんだけど、交換に至ったのは「新たなもふもふ召喚獣が出て来たらお知らせしますよ」という殺し文句だ。前のめりに交換してくれた……ちょっと寂しかった、自分で言っておいてなんだけど。
でもまぁいいのさ、交換には違いないんだからね!これからはトラの画像をしょっちゅう撮って毎日のように送って話の切っ掛けを掴もうと思っている。
「さて、そろそろ1時間だ。まだ来そうにもないから先に行くか」
「あっ、東さんたちを待っていたんですか?」
「東たちはどうでもいいが、如月くんの友人たち3人だな。心配しているかと思ってな」
「ありがとうございます。1時間後出発でしたよね?……あと30分待って頂く事はお願いできますか?」
「あぁ構わん。ではあと1時間待とうか」
「ありがとうございます。横川くんもごめんね、早く帰りたいだろうけどもう少し待ってね」
「大丈夫ですよ、何の予定もないので。それにここで先輩と一緒に過ごせる方が嬉しいので」
「ありがと」
もふ沼にすっかりハマって聞こえていないかと思っていたけれど、ちゃんと意識は残っていたらしい。ニコリと微笑み、少し頬を赤くしながら「ありがと」とか言われちゃったよ。91階層からずっとここまで、心のビデオカメラは回し続けて来ていたけれど、今更に静止画を連写しまくったね。
そういえばずっと先輩と2人で戦闘を続けて来ていて、相互活性なるスキルの恩恵に授かってきたわけだけどどう上がっているのだろうか。気になるので見てみたい。
「師匠、スキルの確認をしてもよろしいですか?」
「あぁ構わん」
うん、知力は……よかった、下がってない。スキルは……
◆
火遁(Lv8)……火球(MAX)―火の玉を前方に10個同時に放出できる。
……火矢(MAX)―火の矢を前方に10個同時に放出出来る。
……炎雨(MAX)―前方に炎を雨のように降らせる。
……炎壁(MAX)―指定の場所に炎の壁を100間作る。
……炎蛇(MAX)―炎で出来た蛇。対象を追って攻撃する。1,000m以内。10匹。
……炎爆(Lv7)―炎の球を前方に放出し爆発させる。同時発射数7
……
……獄炎(Lv2)―着弾した相手の魔力・生命力を糧とし、それらが尽きるまで消えない炎。最大1発の炎の玉を前方に打ち出す。
闇遁(Lv5)……影潜り(MAX)―330分間影の中に入る事ができる。対象が動いた場合は自動的に動く。他の影と重なった場合、移動出来る。
……影操身の術(Lv5)―入っている生物の影の中から、その者を操る事が出来る。連続使用時間75分
……
……影蛇の術(MAX)―自分の影から蛇を作り、対象を追って行き巻き付き影を発生させる。また身体を這い締め付ける。10匹。
……影沼の術(Lv3)―自分の影と繋がっている影に対象がいる場合、影へと飲み込む事が可能。同時対象2つまで。(影内は空気がない為に生物は窒息する)排出時は任意のタイミングで行える。
……
水遁(Lv4)……水球(MAX)―前方に水球を9個放出出来る。
……水矢(MAX)―前方に水矢を10個放出出来る。
……
……氷壁(Lv3)―指定の場所に氷の壁を30分間作る。
口寄せ(Lv6)……鼠(MAX)―鼠を10匹魔力によって召喚できる。鼠は魔力で出来ている為に死んでも再度の召喚が可能。念話により意思疎通が可能。攻撃は不可能。存在時間は10時間。
……鴉(MAX)―鴉を10羽魔力によって召喚できる。鴉は魔力によって出来ている為に死んでも再度の召喚が可能。念話により意思疎通が可能。攻撃可能。存在時間は10時間。
……虎(MAX)―虎を10頭魔力によって召喚できる。虎は魔力によって出来ている為に死んでも再度の召喚が可能。念話により意思疎通が可能。攻撃可能。存在時間は10時間。
……蟹(MAX)―蟹を10杯魔力によって召喚出来る。蟹は魔力によって出来ている為に死んでも再度の召喚が可能。存在時間は10時間。攻撃可能(口から泡を出し、相手の魔法攻撃及び物理攻撃力を減衰させる)
……(大鷲Lv9)……大鷲を1羽魔力によって召喚出来る。大鷲は魔力によって出来ている為に死んでも再度の召喚が可能。存在時間は9時間。攻撃可能。羽ばたきによる風魔法を使用出来る。
……(狐Lv1)……妖狐を魔力により召喚出来る。
分身(Lv36)……分身(Lv36)―魔力で出来た分身を36体作る事が可能。命令をこなす事が出来る。行動により見聞きした物や経験を共有出来る。話す事も可能。存在時間は36時間。
相位転身(MAX)……相位転身(MAX)―自身と分身の位置を入れ替わる事が出来る。対象分身を目視するか思い浮かべ、九字印の臨の手印を行う事により可能。
刀剣術(Lv61)……刀剣を扱う事が出来る。背面に2本装備可能。「抜刀」「納刀」の発動句により手に刀を装備出来る。刀剣での攻撃の際威力があがる。
二刀流術(MAX)……二刀流での行動が出来る。
手裏剣術(MAX)……手裏剣を投げる事が出来る。
格闘術(MAX)……格闘による攻撃の際、攻撃力が上がる。
飛斬術(MAX)……斬撃による衝撃を飛ばす事が出来る。
跳躍(Lv30)……身体能力+30mの高さまで跳躍距離が伸びる。
空歩(MAX)……跳躍時に空中で10歩歩ける。
浮遊術(MAX)……30分間宙に浮く事が可能。
壁面歩行(MAX)……180度の壁を床と同じように歩ける。
水面歩行(Lv8)……80分間水面を走る事が出来る。
毒耐性(MAX)……毒に耐性がある。
麻痺耐性(MAX)……麻痺に耐性がある。
石化耐性(MAX)……石化に耐性がある。
睡眠耐性(MAX)……睡眠魔法に耐性がある。
魅了耐性(Lv5)……魅了魔法に耐性がある。
九字印術(Lv21)……九字印をきる事で、集中力を高める。
……九字印をきる事で、自己治癒力を高め、傷を治す事が出来る。
……九字印をきる事で、体内魔力を回復する。
鑑定阻害(MAX)……鑑定スキル・魔法のレベル10以下を阻害する。
◆
うん、やはり相互活性というだけあってかなり上がっているよね。
炎地は湿地や池など燃えにくい場所では無理だったけど、他の場所はだいだい大丈夫だった。そこに燃えるような物がない土地でもね。素早い敵とかに設置気味に置いたりするのに向いている感じだ。
獄炎なんだけど……スキルは俺を一体どうしようと思っているんだろうか?って感じさえする。当たったら最後消える事なく燃え続けるんだからね、しかも死ぬまで。ただその代わりというか、飛んでいくスピードが遅いので確実に当てるのがかなり難しい。影牢とのコンボとかでしか無理だった。
霧雨は……うん、これは忍者っぽいよね。濃く深い霧って感じで、10cm前も見えないほどだった。
氷壁は炎壁の氷版だ。ただ攻撃力はなくただの壁みたいな感じではあるけれどね。
あとは……相位転身の距離がなくなった事が大きい。これによって分身を先に行かせておいて使えば、労力なしに移動出来るからね。まぁ、「そのように使えば……わかるな?」ってクソ忍者に釘をさされたけどね。
あぁ、分身はやはりこのまま99レベルまで上がりそうな気がするよね。99人の俺……カオスだね……って自分で言ってて悲しくなってきた。
そして待望のもふもふ要員であるキツネが問題だ。なぜなら説明があまりにも不自然に少なすぎる、時間さえ書いていないし。
「師匠、キツネなんですが怪しくないですか?」
「あぁ、明らかに異質だな。だがあくまでもお前のスキルだ。害ある事はないだろう」
「まっ、まぁそうですよね」
「暇だし呼んでみろ、それとも手合わ「呼びますっ!」」
危なっ!危うく地獄の手合わせになる所だったよ……って後でやりそうだけど。
「召喚キツネ」
出て来たのはどう見ても普通のキツネだった。
「意外ですね、ビビってたけど普通のキツネって感じですし」
「お初にお目にかかります
「えっ……?」
キツネが喋ってる!?
もしかして俺をビビらせるためにクソ忍者が腹話術でもやっているのかと振り返って見たら、クソ忍者もキツネをビックリした顔で凝視していた。
「これより末永くよろしくお願い致しますね」
「ええええええっ!?」
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