店員さん?友達なの?めちゃ話しかけるアメリカ人。

 

〇多くのアメリカ人は、なんでもないことを話しかけてきます。


....................................



例えばバスで隣になった人。後ろに並んでいる人。そんな人生の一瞬に出会う人。

全く知らない人がガンガン話しかけてくる。


日本では近所の人など顔見知りだったら「いいお天気ですね」と当り障りのない会話をし、他人だったら道を聞いたりするくらいだろうか?


アメリカでは(主に他人同士が)重要でない話をちょっとすることをSmall talkという。


アメリカに来て間もない頃、まだあまり英会話を理解できなかった。夫の英語はわかる。テレビ英会話のようなきれいな英語もわかる。でもアメリカは北と南ではかなり違う英語だし、私のように世界中から集まってきた人種のるつぼで、それはそれは癖のある英語を話す人が多いのだ。


このSmall talkというアメリカの文化が最初は怖くて仕方がなかった。聞き取れなかったら聞き返すのだけど、何回もだと悪い気がする。笑ってごまかしたこともあったし、目が合ってにっこり笑い(この文化は大好き)近寄ってきたらささっと逃げたりもした(失礼です)


そんな恐怖のSmall Talkなのに私は外出先での話しかけられ率100%なのだ。


数年経ちすぐに慣れた。ショッピング中に話しかけられることが多い。


ある時は


「ねえこの服私に似合うと思う?」

「うん、すごくいい色!似合ってるよ」


別の場所で


「この服ってどうやって着るの?」

「こうやって肩を出して…ここからひっぱって…」


また別の場所で


「このブラどっちがいいかなあ?あなただったらどっち?」

「パープルかな?」


……って、ちょっと待て!!


私は店員さんか?


毎回「これ似合う?」とか「これもう古臭い?」とか誰かが聞いてくる。


なので店員よりも「おまえは私の友達か?」とツッコミを入れたい。


先日も「スカートあっちに売ってましたよ」と返事した後に「こんなに話しかけられるってあれかな?フレンドリーな感じするのかな?」と言うと夫も息子も「そうだよ、それに買い物してる時に笑ってるから」


「え?」一人でワラッテル?


ちょっとそれは変な人みたいだ。少し気をつけよう。


そして今日も(ついさっきだ!!)気を引き締めつつ買い物をしていたら80代くらいのおじいさんが話しかけてきた。


「エクスキューズミー」


きた!


なんかもじもじしつつ、黒いブラウスを2枚握りしめ


「あなたの普段のサイズはどのくらい?」


「……はい?」


今までにない、爆弾、きた! 


「サイズ??」思わず聞き返した

「Yes」つってる。


若い男性から聞かれたのだとしたら「失礼ね」とプリプリしたかもしれない。

でもちと困ってる感じだ。


普段はusuallyLかな?」 正直な私だ。


「じゃあ、こんな感じ?」とLサイズのブラウスを見せたので

「そうですね、そういうのだとL買うと思う」


手に持っていた2枚のブラウスを交互に見てた。もう一枚はXLだったのを見逃さなかった。



たぶんこんなことだったのだろう。


クリスマスにワイフか娘かだれかにブラウスを買おうと思ったおじいちゃん。「ああでもサイズがわからんわい」そこにご機嫌な感じの私が通りかかった。「お、あんな感じの体系じゃ、たぶんこのくらいかの?」とLとXLを選んだおじいちゃん。「念のために聞いておこうかの?」で最初のセリフに戻る。


お店の中ではなんとも思わなかった。毎回声を掛けられるけどこんなこと聞かれることもあるんだなというくらい。


車に戻って別行動してた夫と息子に笑いながら、その話をした。静まり返る車内。


「ちょっと失礼だよね」と夫

「え!そうなの?そうか!そうだよね」

「友人だったらわかるけど、他人だしね」

「そ、そうか!なんかだんだん腹が立ってきた」


遅いよ、私。


今思い出して少しむっとしている。


来年こそはダイエットしようと決意した。


時々こんなこともあるけれど、私はSmall talk今では大好きなのだった。












  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る