ログインボーナス53日目 御伽話
「本日は夜に伺います」と、朝目が覚めるとそういうメールが届いていた。配達員さんから。
ふと思った。
ログインボーナスとは何なのだろう。
根底はネットゲームのようにログインしたらゲーム内の役立つアイテムが貰えることだろう。
ハローワールドとこの現実世界にログイン、眠りから覚めた時に貰えるのがログインボーナスなのではないだろうか。
俺だけ特別と思うのは良くは無いが、ログインボーナスを貰えている人がごく少数なのなら、ログインボーナスを貰えているだけで有り難いことなのかもしれない。
そう思うことにした。
実際ログインボーナスが来るようになってから生活が激変したことは間違いないのだから。
配達員さんと関われることがログインボーナスなのでは?
むしろログインボーナスは付属品というか。
週一の頻度でこんな事を考えている。
夕食を終え入浴を済ました午後8時、インターフォンが鳴った。
「こんばんは。今日のログインボーナスは御伽話です」
「どうぞ」と配達員さんの目の前にケトルで出したハーブティーを置いた。
勿論、俺の分のハーブティーもある。
茶菓子は配達員さんが持ってきてくれたアーモンドクッキーだ。
少し間をおいて配達員さんは御伽話を語り始めた。
桃太郎とかそういう物だと思いはしたが違った。全く聞いたことがない話だった。
昔、神々と呼ばれる者たちの侵略戦争があったこと。
沢山の犠牲を出しながらも龍の神が勝利したこと。
生き残った龍の神々は各地へ分散したこと。
その中の白い龍の神は記憶を失って、魔女に拾われたこと。
白い龍の神が記憶を取り戻した時には、魔女は亡くなっていたこと。
配達員さんが語る口調はとても悲しい物だった。
語り終えた配達員さんは最後にこう言った。
「これは祖母から聞いた話なのであくまで御伽話です」
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