　今日は６時丁度にインターフォンが鳴った。

　いつも朝のボーナスは大体６時半に来る。

　一般的なの宅配便を疑う余地はないので配達員さんだろう。

「おはようございます。今日のボーナスは土鍋です」

　配達員さんは何ものにも包まれていない土鍋を抱えている。

　土鍋を持ち手を濡れたタオルでつかんでおり、土鍋の方は明らかに蒸気を発していた。

「中にお粥が入っているので台所まで運びますよ」

「配達員さんがお粥作ってくれたんですか？」

「いえ、私作ってないですよ」

　私作ってないですよ、その言葉が俺の脳内で反芻する。

　あとで調べたら、新しい土鍋でお粥を炊く行為を目止めというらしい。

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