難病ALSの影に隠れて

近衛源二郎

第1話 難病って何

難病中の難病と言われる難病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気については、誰しもが1度は聞いたことがあるでしょう。

しかし、厚生労働省の指定する難病は、あまり知られていないものが多いですね。

よく知られた病気は、1リットルの涙で有名になった、脊髄小脳変性症や俳優のマイケルJフォックス氏、日本が誇る名作曲家、『上を向いて歩こう』や『見上げてごらん夜の星を』等の作曲家として知られる永六輔氏等が発症したことで知られるパーキンソン病は、聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。

ですが、難病の定義はご存知でしょうか。

難治性(なかなか治せない)で、稀少な病気。

概ね、人口の0‐1%以下しか患者がいない。現在日本人の人口を1億2千万人とすれば、12万人以下ということになります。

原因不明で、治療方法は確立されていない。

つまりは、今の医学では治せない。

高額な医療費が、長期に渡って必要等の条件がある。

少し前までは、ガンや結核も不治の病と呼ばれ、命を落とす病思われていた。

しかし、医薬の発達や医療技術の発達によって、ガンや結核は、早期発見によって完治するようになった。

記憶に新しい、IpS細胞によって様々な難病治療に希望が持て始めた。

それでも、完治できず、病気の進行を遅らせることしかできないという悲しい病気が多数ある。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)も、病気の進行を遅らせることがやっとの難病の仲間である。

皆さんには、想像できるでしょうか。

自分の身体を自分の力で動かせなくなるということを。ご飯を食べる口が動かせなくなる。

呼吸するための空気を吸ったり吐いたりが出来なくなるということの恐怖は計り知れないと思います。

立って歩けない。

排便排尿が、トイレに行けない。

家族と食卓を囲めない。

電気の力で、心臓と肺を動かさないと呼吸すらできないようになるという恐怖がどれほどのものか。

代表的な病気が、ALSであることは間違いないが。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気は、難病の中では進行が早く、悲しんだり、悩んだりしているヒマはない。

次から次へと対策と準備していかなければならないのである。

もちろん、難病と言えど病気などというものは、個人差が激しいものであるが。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)と同じ仲間に分類される難病があるのです。

Motor Nuron Disease 運動ニューロン病というグループの病気です。

同じグループの病気ですから、症状は似通っておりますが、進行の速度が大きく違います。

英語表記の頭文字で、しばしばMNDと略して呼ばれますので、患者48人集めようかなどと冗談になったこともありますが。

筋肉の萎縮を伴う、このグループには、筋肉の萎縮を遅らせるべくリハビリが大きく有効のようです。

SBMA(球脊髄性筋萎縮症)は、加えて子宮筋腫や前立腺ガンの抗ガン剤であるリュープリンが、その進行を遅らせるということがわかって、使用できるようになっております。

SMA(脊髄性筋萎縮症)には、アメリカで治療薬が見つかりましたが、注射1本の値段が2億3千万円という、とんでもない値段になったことで話題になりました。

医療用ロボットスーツHALもリハビリに有効ということで使用できるようになっておりますが、ごくごく初期段階の立ち上がりと数歩の歩行のリハビリぐらいのもので、リハビリしている病院からは出られないという、患者の立場からすれば、極めて中途半端なことになっております。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)も、様々なお薬が見つかりましたが、人それぞれで選択が難しく、効果が出ていない患者さんが、かなりおられます。

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