前編
[田中!]
〈あっ、鈴木!〉
今日も僕の中の2人は他愛もない話をしています。
僕の中の2人は、男同士で付き合っています。
こんな妄想、気持ち悪いですよね…?
「おい、佐藤!」
山田さんの声で僕は現実に戻されました。
「お前何ニヤニヤしてるねん。気持ち悪いぞ。」
山田さんはそう言って僕を罵ります。
田中さんと鈴木さんは教室にいません。今日もきっとサボってるでしょう。
僕は『ごめんなさい』と謝りました。
でも山田さんは、「は?謝ったら済むと思ったんか?」と許してくれませんでした。
僕はいじめられています。僕は、頻繁に妄想をしてはニヤニヤしたり、メガネをかけていて芋臭い感じだし、少し汚いし。
僕の唯一の友達である、ぬいぐるみのうさ子ちゃんも山田さんたちに汚され、お母さんに捨てられました。
もうあの子と同じのは売ってないのに。
お母さんはある日を境に、急に冷たくなりました。
僕が中学校を卒業する前は優しかったのに、冷たくなりました。
うさ子ちゃんが捨てられてからは食欲が更に減り、3食しっかり食べるものの、前のようにおやつを食べることも無くなり、ご飯の量も少なくなりました。
睡眠時間も少なくなり、深夜に自殺願望が湧いてきます。
それでも僕が生きる理由は、田中くんと鈴木くん、そして大好きな川村さんがいるからです。
腐女子でボクっ娘の僕が、クラスの男子2人に救われる話。 白美人 @moeka_13_h
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