第2話巣立ち

そろそろ、こいつにためにも、野生に返さなければいけない。こいつを拾ったのは、いつもの帰り道、誰も通らない様な道路わきに置かれた。カバーの掛かった、籠の中から弱々しい鳴き声が聞こえた。


「これ以上生活のためにも手放さなくてはいけなくなりました。

心苦しいですが、よろしくお願いいたします」


と書かれた紙が置かれていた。

何日か何も食べていないのか、骨も見えそうなほど、やせ細った体を見て助けずには、いられなかった。書置きに書かれていた餌は抵抗感を示したのだが、いざ与えてみると、うれしそうに食べている様子が可愛かった。

それから、こいつを飛鳥と名ずけ毎日、世話をしてやった。元々、やせ細った体だったのに今では大きく成長していた。

ずっと、一人でくらしていることもあって毎日の仕事の疲れを癒してくれ、愛着がわきはじめていた。しかし、飛鳥は旅立たなければ、行けない。書置きには、こう書かれていた。


注意事項

・日光に浴びさせては、いけない。

・十字架を向けては、いけない。

・町に離していけない。(人の血の味を覚えてしまったから)


いつも、ごみの様に扱い、上から見下す者に復讐を。

ついに、飛鳥をこの腐った町に返す時がきた。

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