暗くて明るい

吉田 九郎

第1話常連客

「私を犠牲にして町を救って」

今、街が見下ろせる山の頂上にいる。

俺は突然、数日前に一日先の未来を見る能力を身に付け、彼女が死ぬ運命を回避してきた。しかし、天罰なのか一日後には、街は嵐に襲われ大量の犠牲者が発生する。

彼女の予想、正しければ彼女が死ねば町は救われる。だけど

「今まで、俺が捨てられて身寄りもいないときに助けてくれた。だから、今度は俺が恩返しするよ」

「ありがとう..」

俺は彼女を抱きしめて目を閉じた。


しばらくすると、風の音に混じって爆発音の様な音が聞こえる。これは、銃声か。


「右から敵!お前に任せるぞ。ぼっけと、するな行け! 」

「はい!」

どうやら、すこし、気を失っていたようだ。俺は、テロ組織を壊滅させる作戦に初めて参加している。新米だが生きてかえらなくてはいけない。身寄りのない俺を育ててくれたかの..

突然、胸のあたりに痛みが走った。隣を見ると先輩も頭を撃たれていた。

「雑魚に構わないで俺のカバーしろ! 本気で勝ちに行くならー 」

俺を撃った奴が叫んでいる。

意識がだんだん薄れていく。



「また、やられてるよこの人、せっかく昔のFPSゲームの夢が見たいとアンケートに書いてあるから作ってあげたのに。そろそろ、起きますかね。この人。12時間も夢を続けて体大丈夫なんですか?」

真っ白な部屋に3人の男がいる、一人は頭からコードが伸び、機械に繋がれて寝ている。

ガラス越しに、2人の男が何やらモニターを見て作業をしながら話している。


「もしかしたら、起きた時に立ちくらみが起こるかもしれないけど大丈夫だろ。その人はうちの常連で休日は毎日、来てるよ。入社したてのお前には、わからないか」


「なんで、そんなに利用するんですかね?」


「一度その人に話しかけてみたら、孤児院で育てられて学校でもいじめられていたらしい。今、どうかは話そうとしなっかたけど、まだ寂しそうだった。

俺たちが、面白い夢を作って、夢を見る人たちの問題は解決できないけど、元気や変れるきっかけをあたえることればいいと思う。」


「12時間は流石に..入りこみすぎるのもダメだと思いますけど。」


「そんなこと言ってないで、仕事しろ。次の納期に間に合わないぞ」


「はい、次はSF物ですね」

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